kintone SFA活用事例|6年間の自社運用で分かった「失敗しない構築」と3段階の進化プロセス

kintone SFA活用事例|6年間の自社運用で分かった「失敗しない構築」と3段階の進化プロセス
kintone

「kintoneでSFA(営業支援システム)を作ってみたけれど、結局Excelに戻ってしまった……」 そんな悩みを抱える企業は少なくありません。自由度が高いkintoneだからこそ、実は「正解」に辿り着くのが難しいツールでもあります。

私たちトライコーンは、2020年から約6年間、自社でkintone SFAを運用し続けてきました。その道のりは決して平坦ではなく、データの散逸や現場の反発など、数多くの失敗を経験しています。

本記事では、2020年の「脱Excel(V1)」から、2024年以降の「UI/UXの極致(V3)」に至るまでの3段階の進化プロセスを完全公開します。現場の営業マネージャーとシステム管理者が、いかにして「入力したくなるSFA」を作り上げたのか。6年間の試行錯誤から導き出した、失敗しないための「鉄則」をお伝えします。

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この記事の著者
服部誠

トライコーン(株)
Senior Vice President of Marketing。
同社 元取締役COO
Web広告、CRM、CDP、データ可視化などお客様のWebマーケティングの課題解決に長年従事。
Salesforce Marketing cloud メールスペシャリスト / アドミニストレータ / コンサルタントおよび、Salesforce アドミニストレータの各認定資格を保持。
Markezine Dayでの登壇や、自社ウェビナー共催セミナーでの登壇実績多数。

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  1. なぜSFA導入は「挫折」しやすいのか?
    1. エクセルでの管理からSalesforce (Sales Cloud)を導入したが、、
    2. 次にkintone SFA導入にチャレンジ。Excel管理に戻らないキモは?
  2. 【V1:2020年〜】脱Excel期「まずはデータが溜まる器を作る」
    1. 導入前の悲劇:情報の属人化とデータ消失が常態化していた時代
    2. 最初の設計:完璧を求めず「入力のハードル」を極限まで下げる
    3. kintone管理者の視点:標準機能だけで「案件の見える化」を最優先した理由
  3. 【V2:2022年〜】拡張期「部門間連携と管理機能の肥大化」
    1. 営業から解約まで。全社データがkintoneに集約されたメリット
    2. 直面した壁:項目が増えすぎて「入力難」問題
    3. 営業MGRの決断:マネジメント方針を「kintoneファースト」に完全移行
  4. 【V3:2024年2月〜】成熟期「UI/UXの改善と現場の定着」
    1. 画面遷移は不要。1画面上にTABを設置。「迷わないレイアウト」
    2. ソリューション見積もkintoneアプリ化。見積もり作成が高速化
    3. 管理者(Iさん)厳選!kintoneを強力なSFAに変える「3つの神プラグイン」
    4. 営業MGR(Sさん)が語る驚きの効果:営業会議の質の向上
  5. 6年間の自社運用で確信した「kintone SFA成功の鉄則」
    1. 失敗を前提とした「アジャイル型」の改修プロセス
    2. 現場の「面倒くさい」を拾い上げるコミュニケーションの秘訣
    3. 最初から専用SFAを選ばなかったことの費用対効果
  6. まとめ:kintone SFAは「構築」ではなく「育成」である
  7. 【無料資料】具体的な当社kintone SFA事例を公開中

なぜSFA導入は「挫折」しやすいのか?

SFA(営業支援システム)を導入した企業の約7割が、定着化に課題を感じていると言われています。高機能なツールを導入すれば営業が強くなる——そんな期待とは裏腹に、なぜ多くのプロジェクトが志半ばで挫折し、使い慣れた「Excel管理」に先祖返りしてしまうのでしょうか。

そこには、ツールそのものの良し悪しだけではない、「運用のリアリティ」との乖離があります。

エクセルでの管理からSalesforce (Sales Cloud)を導入したが、、

弊社もかつて、Excelでの案件管理に限界を感じ、最高峰SFAである「Salesforce (Sales Cloud)」を導入した時期がありました。しかし、結果として当時の当社には合いませんでした。

なぜ、最高峰のツールを使いこなせなかったのか。理由は3つありました。

  1. 入力項目の「過多」と「複雑さ」: 多機能ゆえに、入力すべき項目が多く、現場の営業マンから「入力するのが仕事になってしまい、肝心の営業活動の時間が削られる」という悲鳴が上がりました。
  2. 改修のハードルの高さ: 「ここを少し変えたい」と思っても、設定の専門性が高く、当時の当社では現場の要望を即座に反映することができませんでした。結果、ツールが現場の動きに追いつけなくなりました。
  3. 「管理のための管理」への反発: マネージャーが数字を見るためのツールになりすぎてしまい、現場の営業マンにとって「これを入れると自分の営業が楽になる」というメリットを提示しきれなかったのです。

次にkintone SFA導入にチャレンジ。Excel管理に戻らないキモは?

Salesforce導入での挫折を経て、私たちが次に選んだのが「kintone」によるSFA構築でした。2020年のことです。一度失敗を経験した私たちが、Excel管理に戻る誘惑を断ち切り、kintoneを定着させるためにこだわった「キモ」は、「不完全な状態からのスタートを許容する」ことでした。

kintoneを選んだ最大の理由は、その「圧倒的な柔軟性」と「ライセンス費用の安さ」です。

  • 「とりあえずExcelと同じ項目から」始める: 最初から高度な運用を目指さず、まずはExcelに入力していた内容をそのままkintoneに移植する。現場が「これならExcelと変わらないからできる」と思えるハードルの低さを優先しました。
  • 管理者が「現場の隣」にいること: 「現場の要望をその場で修正できる」スピード感こそが、kintone定着の生命線です。要望が即座に画面に反映されることで、営業マンは「自分たちのためのツールだ」という当事者意識を持ち始めました。
  • ライセンス費用の安さ: 1ライセンス1800円/月(スタンダードコース、最低10ライセンスから)は当社が無理なく継続できる価格でした。

「高機能な型に人間を合わせる」のではなく、「未完成な型を、現場と一緒に育てていく」。このマインドセットの切り替えこそが、6年に及ぶ自社運用の第一歩となりました。

【V1:2020年〜】脱Excel期「まずはデータが溜まる器を作る」

私たちが2020年に再チャレンジしたのがkintoneによるSFA構築、「V1」期、において、私たちが徹底したのは「高望みをしないこと」でした。分析や予測よりも、まずは「今日、誰がどこで何をしているか」を1箇所に集約することに心血を注ぎました。

導入前の悲劇:情報の属人化とデータ消失が常態化していた時代

kintone移行前の弊社の営業現場は、まさに「Excelの迷宮」でした。

  • 「最新版」がどれか分からない:共有サーバー内に「案件管理_20200501_最新」「案件管理_最新_修正版」といったファイルが乱立。
  • 同時編集によるデータ消失:誰かがファイルを開いていると更新できず、無理に上書きしてデータが消えるアクシデントが頻発。
  • 情報のブラックボックス化:個々の営業マンの頭の内とメール履歴にしか詳細な商談経緯がなく、担当者が不在の際に「お客様と何を話したか」が全く見えない属人化が起きていました。

「誰かが休むと営業活動が止まる」、「営業マンが退職すると案件詳細がわからない」という危機感が、私たちの背中をkintone SFA導入へと突き動かしたのです。

最初の設計:完璧を求めず「入力のハードル」を極限まで下げる

V1構築において私たちが掲げたスローガンは「Excelより楽にすること」です。

多くの企業がSFA構築で陥る罠は、最初から「BANT-C(予算・権限・ニーズ・導入時期・競合)」「詳細な活動履歴」「ネクストアクション」「受注要因」など、細かい項目を盛り込みすぎることです。これでは現場は疲弊します。

私たちはあえて、項目をExcel時代に使っていた最低限のもの(顧客名、案件名、金額、受注予定日、受注確度)に絞り込みました。まずは「kintoneを開いて1分程度で更新が終わる」という体験を積み重ねることで、現場の「入力アレルギー」を払拭することに集中したのです。

このころ購入したkintoneのライセンス数は、営業人数分+kintone管理者分+役員分といった最少数でした。

kintone管理者の視点:標準機能だけで「案件の見える化」を最優先した理由

この時期、kintone管理者(Iさん)がこだわったのは、「あえてカスタマイズ(JavaScriptや高性能プラグイン)を封印し、極力標準機能だけで組み上げる」ことでした。

その理由は2つあります。

  1. スピード感:現場から「この項目を追加してほしい」と言われたその場で、設定画面を開いて追加・修正する。この「自分の意見が即座に反映される」ライブ感が、現場の当事者意識を育てました。
  2. 「一覧性」の担保:kintoneの標準機能である「一覧(絞り込み)」を使い倒し、「今月受注予定の案件」「1ヶ月以上動きがない案件」をパッと表示できるようにしました。

「複雑な分析はできなくても、今、誰が困っているかが見える」。このシンプルな「見える化」こそが、V1期における最大の成功要因でした。

【V2:2022年〜】拡張期「部門間連携と管理機能の肥大化」

2022年、kintone SFAの運用は次のフェーズへ進みました。当社はソリューションサービス(制作やシステム構築)を提供しています。そのため、ソリューション部門(納品部門)との連携が営業段階から必要です。

また、受注後はカスタマサクセス部門が営業時の情報を確認したり、解約管理をします。

これらの業務をすべてkintone上で繋ぎ合わせる「全社基盤化」への挑戦です。しかし、便利になればなるほど、現場には新たな「歪み」が生じ始めていました。

営業から解約まで。全社データがkintoneに集約されたメリット

V2における最大の進化は、「情報のバトンパス」のデジタル化でした。

これまでは営業がソリューション案件の相談をするには、ソリューション部門へメールやチャットで相談。その上で、情報共有会議をして概算見積もりを出すといった工程で、見積もり算出まで1週間かかることもありました。

また、残念なことではありますが、既存のお客様が解約になることもあります。その情報は別システムにあり。カスタマーサクセスや営業が情報確認に二重、三重の手間が発生していました。

V2ではこれらをすべてkintoneに集約しました。

  • 情報共有ミスの撲滅:ソリューション案件相談アプリを作成。案件に紐づく顧客情報や営業活動履歴をソリューションスタッフが確認できることで、情報共有のミスを低減。
  • 解約情報の可視化:解約管理アプリを作成し、解約状況(過去、将来予定)の把握がkintoneで可能になり、社員全員が顧客維持活動の重要性にも目覚めました。

「kintoneを見れば、当社のお客様の今(契約状況)と過去(商談経緯)がすべてわかる」。この安心感は全社に浸透しました。

このタイミングでは、kintoneのライセンスは営業、kintone管理者、役員、ソリューション、カスタマサクセス、マーケティング、経理に広がり、プロダクト開発部門を除く全員がkintoneライセンスを保持していました。

直面した壁:項目が増えすぎて「入力難」問題

しかし、全社連携を進めた副作用として、営業マンが入力すべき「項目」が増えてしまいました。

受注分析に必要なフラグ、マーケティング用のフラグ、見積もり用情報……。気づけば1つの案件を登録するのに、多くの項目を埋めなければならない状態に。

営業現場からは「入力が重すぎる」という、かつてのSalesforce時代を彷彿とさせる不満が再燃しました。情報の精度を上げようと欲張るあまり、現場の「入力意欲」という最も大切な土台を削り取ってしまったのです。

営業MGRの決断:マネジメント方針を「kintoneファースト」に完全移行

この危機を救ったのは、営業マネージャー(Sさん)の「管理方針の転換」でした。

システムを改修する前に、まず組織のルールを「kintoneにない情報は、この世に存在しないものとする」という極めてシンプルな原則に統一したのです。

  • チャットでの個別報告を禁止:「例の案件どうなった?」という問いかけやその回答を、Slackで行うのではなく、kintoneのコメント機能を使い、すべて案件に紐づけて管理することを徹底。
  • 会議の景色を変える:営業会議ではkintoneの「画面」だけを使って会議を進行。入力していない人間は、冷や汗をかく空気感を作りました。

「入力は面倒だが、入力しないと仕事が進まないし評価もされない」。この「kintoneファースト」な文化への強制的なシフトが、システム崩壊の危機を食い止め、次の「V3(洗練期)」への架け橋となったのです。

【V3:2024年2月〜】成熟期「UI/UXの改善と現場の定着」

2024年2月、私たちは「kintoneファースト」の文化を土台に、システムの決定的な改修に踏み切りました。V2で生じた「入力項目の肥大化」という負債を解消し、現場の営業マンが「これならストレスなく入力できる」と確信できるUI/UX(ユーザー体験)の追求です。

画面遷移は不要。1画面上にTABを設置。「迷わないレイアウト」

V3における最大の変更点は、アプリのレイアウト設計です。これまでのkintone SFAは、関連レコードや別アプリへのリンクが散在し、情報を入力・確認するために画面を行き来する必要がありました。

管理者(Iさん)が着手したのは、「1画面完結型の縦長レイアウト」への再構築です。

  • 思考を止めない設計:商談の流れに沿って、上から順に入力していけば自然と案件管理が完了する配置に。
  • 情報のグルーピング:「会社情報」「問い合わせ情報」「BANTC」「案件管理」「ソリューション」・・・といった具合にプラグインを活用して1画面内にタブ(セクション)を設置し、その時必要な情報だけにカンタンにアクセスできる工夫を施しました。

「どこに何を書けばいいかわからない」「どこを見たらいいのかわからない」という迷いを排除したことで、現場の入力スピードや情報確認スピードは劇的に向上しました。

ソリューション見積もkintoneアプリ化。見積もり作成が高速化

ソリューション案件の場合、制作やシステム開発の中身が顧客ごとに異なっているので毎回ソリューション部門で工数算出して見積もりを作成していました。そのため、繁忙期は見積もり作成に1週間かかることもあり、受注率低下要因でもありました。そこで、ソリューション案件の内容を細かく分類してアプリ化し、営業担当者がすぐに見積もり作成できるようにしました。

これにより見積もり作成工数が大幅に削減され、見積書自体も簡単に出力できるようになりました。

管理者(Iさん)厳選!kintoneを強力なSFAに変える「3つの神プラグイン」

今では数多くのプラグインを使っていますが、SFAとしての完成度を高めるために厳選した3つのプラグインは以下です。

  1. データコレクト(トヨクモ): アプリ間に散らばる売上データや解約情報を自動集計。手動での計算をゼロにし、常に「最新の数字」がダッシュボードに並ぶ状態を作りました。このプラグインはV1時代から使っていました。SFAをやるには必須のものです。
  2. 条件分岐処理プラグイン(TIS): 「このステータスの時だけ、この項目を表示する」という制御を導入。V2で課題だった「項目の多さ」を、必要な時だけ表示させることで擬似的に解消しました。
  3. プリントクリエイター(トヨクモ): kintone上のデータから、ボタン一つで美しい見積書や発注書を出力。営業マンにとって「事務作業が楽になる」という直接的なメリットを提示しました。

営業MGR(Sさん)が語る驚きの効果:営業会議の質の向上

システムの進化は、組織のパフォーマンスに直結しました。営業マネージャー(Sさん)は、V3移行後の変化をこう語ります。

「以前は会議の前に『あいつの案件どうなってたっけ?』と確認する時間が必要でしたが、今は全員がkintoneを見れば一瞬で状況を把握できます。結果、進行中のA案件は過去に受注したB案件を参考にしてください、今度訪問するC社の案件は同業のD社の事例を説明してといった、営業活動の質向上の会議に変化しました。」

6年間の自社運用で確信した「kintone SFA成功の鉄則」

2020年から始まった私たちのkintone SFAの旅は、決して「一足飛びの成功」ではありませんでした。V1からV3まで、失敗と改善を繰り返した6年間で確信した、成功のための3つの鉄則をお伝えします。

失敗を前提とした「アジャイル型」の改修プロセス

「最初から完璧なアプリ」を作ろうとしないでください。市場環境や組織の形が変われば、必要な項目や管理の仕方も変わります。 私たちがV3まで到達できたのは、管理者のIさんが現場の隣に座り、「ここが使いにくい」という声をその日のうちに反映させるアジャイル(俊敏)な姿勢があったからです。

kintoneの最大の武器は「作り直せること」。この柔軟性を活かす体制づくりこそが、Excelへ戻るという失敗を防ぐ最大の防御策になります。

現場の「面倒くさい」を拾い上げるコミュニケーションの秘訣

SFAが形骸化する最大の原因は、現場の「入力負担」です。営業MGRのSさんは、単に「入力しろ」と命じるだけでなく、現場が何に躓いているかを常に観察していました。 「見積もり作成に1週間かかる」という現場の悲鳴をキャッチし、それを「見積もりアプリ化」という解決策に繋げたことで、営業担当者は「kintoneを使えば自分の仕事が早く終わる」と実感できました。

「管理のための入力」を「自分の武器になる入力」へ変える視点が不可欠です。

最初から専用SFAを選ばなかったことの費用対効果

「専用SFAツールとkintone、どちらが良いか?」という問いに対し、私たちは自信を持って「自社で育てられるkintone」を推奨します。 高額なライセンス料を払っても、使いこなせなければコストでしかありません。一方、kintoneであれば、kintoneライセンスと月数万円のプラグイン投資で、自社の業務フローにフィットした自社専用SFAを構築できます。加えて見積もり作成等の周辺業務のアプリ化も可能です。

6年経った今、私たちのkintone SFAは、どんな高級な既製品よりも「私たち」を知っている最強の相棒になっています。

まとめ:kintone SFAは「構築」ではなく「育成」である

kintone SFAの導入は、ゴールではなくスタートです。V1で土台を作り、V2で繋がりを作り、V3で使い勝手を極める。このステップを歩むことで、組織の営業力は確実に底上げされます。

もし今、あなたが「SFAを導入したい」「過去導入に失敗したのでSFA導入に心配」と考えているなら、私たちの6年間の試行錯誤が詰まった知見をぜひ活用してください。

【無料資料】具体的な当社kintone SFA事例を公開中

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