はじめに
前回の記事では、Marketing Cloud Personalization とはどういったものかについてご紹介いたしました。
今回は、Marketing Cloud Engagement のリアルタイムパーソナライゼーションツールである、 Marketing Cloud Personalization(マーケティングクラウド パーソナライゼーション)の初期設定とオブジェクトの設計方法についてお伝えしていきます。
全4回に渡って Marketing Cloud Personalization の概要説明から導入方法の紹介を行っていますので、ぜひ最後までご覧ください。
第1回 → Marketing Cloud Personalization の全体概要
第2回 → Marketing Cloud Personalization の初期設定とオブジェクトの設計方法(本記事)
第3回 → Marketing Cloud Personalization のサイトマップとキャンペーン開発
第4回 → Marketing Cloud Personalization のデータ連携とテスト方法
下準備

Marketing Cloud Personalization の作業に取りかかる前に、まず Marketing Cloud Engagement の初期設定を完了する必要があります。
Marketing Cloud Engagement の初期設定方法についてはこちらの記事をご参考ください。
> Salesforce Marketing Cloud 導入時の初期設定(セットアップ)について分かり易くご紹介します!
Marketing Cloud Personalization のデータセット設定

Marketing Cloud Personalization の初期設定作業を始めるにあたって、まず Marketing Cloud Personalization 内にデータセットを作成していきます。
データセットは Marketing Cloud Engagement で言うところのビジネスユニットと同じような位置付けであり、Marketing Cloud Personalization で扱うデータを分離および整理するためのイベントやオブジェクトのコレクションです。
Salesforce社は本番用と開発・テスト用で2つのデータセットを用意することを推奨しています。
また、必要に応じて20個までのデータセットを作成することが可能です。
データセットの作成には、主に以下のような情報が必要です。
- 導入する企業名
- 導入するサイトのURL
- 複数ドメインを利用するか
- 複数ドメインでカートを共有するか
- 利用するリージョン
- 利用するデータセット
- データセットの言語
- WEBサイトにEコマース機能があるか
- データセットの通貨設定
以下の記事では、架空の企業であるXX株式会社のB2C向けECサイトに Marketing Cloud Personalization を導入する想定で解説を進めます。
XX株式会社のECサイトは単一のドメインで構成されており、ユーザーの情報と商品情報はWEBからの取得に加えて、外部システムからも取り込むこととします。
データセットは、Salesforceの推奨に従って本番用と検証用の2つを作成します。
この場合、初期設定に必要な情報は以下のようになります。
設定項目 | 設定内容 |
---|---|
導入する企業名 | XX株式会社 |
導入するサイトのURL | https://www.example.com/ |
複数ドメインを利用するか | No |
複数ドメインでカートを共有するか | – |
WEBサイトにEコマース機能があるか | Yes |
利用するリージョン | Japan |
データセットの言語 | Japanese |
データセットの通貨設定 | 円 |
利用するデータセット | PROD, DEV |
利用するオブジェクト | User, Transaction, Product, Category |
データのアップロードが必要なオブジェクト | User, Product |
これらの情報を元に、データセットの初期設定を行います。
また、その他のオプションも適切に設定します。
Marketing Cloud Personalization のオブジェクト設定

Marketing Cloud Personalization でデータセットを作成した後に、オブジェクトの設定を行います。
オブジェクトは Marketing Cloud Engagement で言うところのデータエクステンションのような位置付けであり、カタログオブジェクトとユーザープロファイルオブジェクトの2種類があります。
カタログオブジェクトにはサイトの製品やブログ記事の情報を格納し、ユーザープロファイルオブジェクトには製品やブログなどのカタログと紐付けられたユーザの関連情報を格納します。
また、特定のカタログオブジェクトと1:1の関係で対応し拡張のような形で利用される、アトリビュートと呼ばれる属性情報も存在します。
例えば、Productオブジェクトに紐づくアトリビュートとしては、名前、URL、画像、発行日などが挙げられます。
カタログオブジェクトに新たな項目を追加したい場合は、基本的にこのアトリビュートを利用します。
Marketing Cloud Personalization でECサイトの施策実行を行う際には、例えば以下のようなオブジェクトが必要になります。
- User
ウェブサイトにアクセスしたユーザの情報を格納するオブジェクトです。 - Product
商品情報を格納するオブジェクトです。 - Category
商品に紐づくカテゴリ情報を格納するオブジェクトです。 - Account
ウェブサイトにアクセスしたユーザをグループ化する場合や、サイトやアプリ単位でトラッキングしたい場合に格納するオブジェクトです。主にB2Bでの用途に利用します。
これらの情報は基本的にウェブサイトに埋め込んだトラッキングタグ経由で取得しますが、別途ETLを利用した外部からのデータ取り込みも可能です(一部例外も存在します)。
また、必要に応じてその他の Marketing Cloud Personalization カタログオブジェクトを有効化したり、ユーザ定義のオブジェクトを自由に作成することも可能です。
次回の記事では、ウェブサイトにトラッキングタグを導入してカスタムオブジェクトにリアルタイムに情報を連携する方法について解説いたします。
さいごに
今回は、Marketing Cloud Personalizationの初期設定とオブジェクトの設計方法について簡単にご紹介しました。
本記事ではECサイトを例に解説を進めましたが、Marketing Cloud Personalizationはそれ以外にブログサイトの記事のレコメンドなどにも利用できます。
Marketing Cloud Personalizationで実現できることはとても多く、またそれらを実現するための設定項目は多岐に渡るため、専門の外部パートナーと協力して進めていくのが一般的となっています。
トライコーン株式会社は、Marketing Cloud Engagement のコンサルタントや開発者の認定資格や、Marketing Cloud Personalization の認定資格を有したプロフェッショナルがお客様の導入を強力にバックアップする体制を整えております。
導入段階・運用段階どちらにおいてもお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。