企業活動において、広告宣伝メール、メールマガジンなどの、Eメールを利用したマーケティングを行う事があるでしょう。その際に特定電子メール法は必ず押さえなければいけない法律です。
この記事では、特定電子メール法について分かりやすく解説します。
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特定電子メール法とは何か
特定電子メール法とは、正式には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といい、2002年に施行され、その後何度か改正が行われている日本の法律です。この法律は、無差別かつ大量に配信される迷惑メール(スパムメール)の問題に対処するために制定されました。
法律制定の背景には、インターネットの普及とともに急増した迷惑メールがあります。これらは受信者の同意なく送信されていたため、プライバシーの侵害、メールシステムの負荷増大、ユーザーの信頼損失などの問題を引き起こしていました。このような状況を受け、受信者の保護とインターネット上の通信環境の改善を目的に特定電子メール法が考案されたのです。
法律が制定された目的
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律には、下記のように記載があります。
電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること。
特定電子メール法では、事業者が広告や宣伝を目的としたメールを送信する際には受信者の事前の同意(オプトイン)を得ること、または受信拒否(オプトアウト)の意思表示に応じて送信を中止することを義務付けています。加えて、広告メールであることを明確にし、送信者の情報を正確に表示することも要求されています。違反した場合には、行政指導や罰金などの罰則が科されることがあります。
これによって、消費者が不要な広告メールに悩まされることなく、快適な電子メール環境の確保が図れるようになることが目指されています。
特定電子メール法の主な内容
特定電子メール法では、様々な規定がありますが、メール配信者が求められる主な内容をご紹介します。
受信者の同意(オプトイン)
特定電子メール法では、広告・宣伝目的のメールを送信する際には、基本的に受信者の事前の同意(オプトイン)が必要です。事業者は、メールを送信する前に、受信者からの明示的な了承を取得しなければなりません。同意の方法としては、メールアドレスを提供する際にチェックボックスを設ける、ウェブサイトでの登録フォームに同意条項を含めるなどがあります。
具体的な同意(オプトイン)の取り方
特定電子メール法では、受信者からの明示的な同意(オプトイン)を取得して記録することが重要です。事業者はウェブサイトの登録フォーム、メールマガジンの申込ページ、応募フォームなどを通じて、利用者がメールの受信に同意したことを示すチェックボックスや同意ボタンを明確に設ける必要があります。
受信者がこの同意を与えた日時や方法を記録し、保存する義務もあります。このような記録は、後に同意の有無を確認するために使われることもあるため、管理は慎重に行われる必要があります。
受信者による拒否の仕組み(オプトアウト)
受信者がメールの受信を希望しない場合には、いつでも簡単に拒否することができる仕組み(オプトアウト)を事業者は設ける義務があります。メールには、受信を拒否するための方法や手順が明記されていなければならず、一般的にはメールの末尾にオプトアウトするためのリンクや連絡先が示されています。オプトアウトの申し出を受けた場合、事業者は速やかに送信リストから当該受信者を削除する必要があります。
具体的なオプトアウトの方法
送信されるメールには、オプトアウトの方法が明記されている必要があります。受信者がメールの配信停止を簡単に行えるよう、メールの末尾には配信停止を依頼するためのリンクや、返信をするための明確な指示が含まれていることが望ましいです。
事業者はオプトアウトのリクエストを受け取った際に、速やかに送信リストから該当する受信者を削除し、以後のメール送信を行わないよう手続きをとらなければなりません。また、オプトアウトの要請があった記録も管理する必要があります。
受信者目線では、URLをクリックして、すぐに配信停止処理が出来るとなお良いでしょう。配信停止をクリックしたけどログインが必要で、ログインパスワードの再発行から行わなければいけないような状態に陥る場合がありますが、受信側のストレスになりかねません。
そのような機能のあるメール配信サービスを選定することも、メール配信者として重要なポイントとなるでしょう。
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広告メールの識別
送信される広告メールは、送信者の氏名や連絡先などの情報も正確に明記することが要求されます。具体的には下記の明示が義務付けられています。
- 送信者の指名、名称(会社名)
- 受信拒否ができる旨
- 受信拒否の通知先(URL、メールアドレス)
- 送信者の住所
- 苦情・問い合わせを受け付ける連絡先(電話番号、メールアドレス、URL)
これらの内容は、特定電子メール法を遵守し、消費者の利便性と権益を守るために定められています。違反すると、行政指導を受けたり、罰金を科されたりすることがあるため、事業者はこの法律の規定に注意深く従う必要があります。
違反した場合の罰則
違反する内容により、罰則が異なります。ここでは主な罰則についてご紹介します。
法律に違反すると何が起こるか
特定電子メール法に違反した場合、事業者は行政指導を受けたり、消費者からのクレームが増加したりすることが考えられます。また、悪質な違反があった際には、名誉毀損や不正競争防止法違反など他の法律に抵触する可能性もあり、刑事罰や民事訴訟の対象となるケースもあります。
主な罰則の内容
送信者情報を偽った場合(なりすましメール)
法人:行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金
架空電子メールアドレスあて送信、受信拒否者への送信、表示義務違反、同意のない者への送信
総務大臣及び内閣総理大臣による命令(架空電子メールアドレスあての送信の場合は、総務
大臣による命令)。命令に従わない場合、
法人:行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)
同意の記録義務違反
総務大臣及び内閣総理大臣による命令。命令に従わない場合、
法人:行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金
メールに関するよくある質問(FAQ)
なりすましメール対策はどのような方法がありますか?
「SPF」「DKIM」「DMARC」「BIMI」「S/MIME」といったメール認証を行う事がおすすめです。
これら機能の実装はなりすましメール対策だけではなく、「メールを届きやすくする」ことや、「メール送信をする会社のドメインを悪意のある第三者から保護する」という役割も果たしていますので、出来る限り設定するようにしましょう。
Gmailが設けた「メール送信者のガイドライン」とは何ですか?
Gmailは、2024年2月以降、Gmail アカウントに1日あたり5,000件以上のメールを送信する送信者に対し、3つのガイドラインを義務付けしました。
本記事の「特定電子メール法」とは関係のないGmail(メールソフト側)独自の規定です。
お使いのメール配信サービスや、システムがGmailの提唱するガイドラインに準拠出来ていない場合、メールの到達率が下がる可能性があります。
詳しい内容につきましては、下記記事でご紹介していますので、合わせてご覧ください。
参考文書
こちらの記事は、下記文書を参考に執筆を行っております。
総務省:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイントhttps://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_pamphlet.pdf
消費者庁:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specifed_email/
e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0100000026