「kintoneにもAIが使えるようになったらしい」「ChatGPTやClaudeとkintoneをつなげられると聞いた」。そう聞いて興味はあるものの、自社では何から始めればよいのか分からないと感じていませんか。
kintone×AIの方法は、大きく分けて3つあります。この記事では、kintoneに組み込まれた「kintone AI」、ClaudeやChatGPTなどの「生成AI」との組み合わせ、AIワークフローツール「workrun」(*)との連携について、できることと選び方を初心者向けに解説します。トライコーンが社内で実際に取り組んでいる活用例も、ダミーデータの画面で紹介します。
(*)workrun(ワークラン)は、株式会社ベーシックが提供するAIワークフロー自動化ツールです。
この記事の結論
- kintone×AIの方法は「kintone AI(標準機能)」「生成AI×kintone」「workrun×kintone」の3つです。
- 選ぶ基準は「困りごと」です。探す・まとめるならkintone AI、集計・報告なら生成AI、受付後の振り分けや転記ならworkrunが向いています。
- いきなり高度な自動化を目指す必要はありません。CSVを生成AIに渡すだけでも、毎週の報告作業を大きく減らせます。成果を左右するのは、kintoneのアプリ設計とデータの揃い方です。
「自社ならどの業務から試せるか」を社内で話し合うときは、自社の困りごとから利用法を探せる資料「kintoneで『ちょっと面倒』を減らす 業務改善・自動化アイデア集」(無料PDF)もご活用ください。
AIを本格的に使う前に、まず何から試せるかを1冊で
Excelの置き換え、申請・承認、kintone AI、生成AIでの週次レポート、workrunでの自動化まで、6つのアイデアを「よくある困りごと・始める3ステップ・注意点」つきで1ページずつまとめた全12ページの資料です。困りごと別の早見表と、始める前のチェックリストも付いています。
この記事でわかること
- kintone×AIの3つの方法と、それぞれの違い
- kintone AI(標準機能)でできることと利用条件
- ClaudeやChatGPTなどの生成AIとkintoneを組み合わせる方法(CSV→MCPの2段階)
- workrunで受付後のフォロー業務を自動化する方法
- 困りごと別の選び方(早見表)
- トライコーンの社内活用例:週次の売上見込みレポートが約2時間から約10分に
kintone×AIでできること:3つの方法をざっくり知る
kintoneでAIを使う方法は、AIが「どこで」動くかで3つに分けると理解しやすくなります。

| 方法 | AIが動く場所 | 得意なこと | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| kintone AI | kintoneの画面の中 | 探す・要約する・アプリ作成や設定の相談 | kintoneを使う全員 |
| 生成AI×kintone | ClaudeやChatGPTなど、kintoneの外 | データの比較・分析・レポート作成 | 集計・報告をする管理者 |
| workrun×kintone | 業務の流れの中(ツール間) | 振り分け・通知・登録・転記の自動化 | 定型の手作業が多い部門 |
それぞれ得意なことが違うため、「どれが一番優れているか」ではなく「今の困りごとにどれが合うか」で選ぶのがポイントです。以下で順番に見ていきます。
方法1:kintone AI(kintoneに組み込まれたAI)でできること
kintone AIとは、サイボウズが提供するkintoneの標準機能として使えるAIです。2026年6月14日に正式提供が始まり、スタンダードコースとワイドコースで利用できます。個別の申し込みは不要で、kintoneの管理者が「kintone AI管理」画面で使う機能を選ぶと利用を始められます。まず、自分の環境でkintone AIが使えるかどうかを管理者に確認するといいでしょう。
探す・まとめる:検索AI/スレッド要約AI/レコード一覧分析AI
| 機能 | できること | 活用例 |
|---|---|---|
| 検索AI | 複数のアプリのデータを横断して探し、質問に答える | 社内FAQや規程、過去の問い合わせ対応を言葉で検索 |
| スレッド要約AI | スペースのスレッドに投稿されたコメントを要約する | 長く続いたプロジェクトのやり取りの要点を把握 |
| レコード一覧分析AI | 一覧に表示したレコードの内容を要約・分析する | 案件リスト、日報、問い合わせリスト等から傾向をつかむ |
作る・設定する:アプリ作成AI/プロセス管理設定AI/アプリ設定レビューAI
AIと会話しながらアプリを作ったり、申請・承認の流れ(プロセス管理)の設定を相談したり、作ったアプリの設定内容をAIに確認してもらったりできます。kintoneに慣れていない担当者が、アプリ作りを始めるときの助けになります。
利用条件と注意点
- 対象はスタンダードコース・ワイドコースです(ライトコースは対象外)。
- 毎月、契約ユーザー数に応じたクレジット(利用量の単位)が付与され、組織内で共有して使います(スタンダードコースは契約ユーザー数×500、ワイドコースは×1,000)。
- サイボウズは、顧客のデータをAIの学習に使用しないことを明記しています。
- 正確な金額や件数の集計は、AIではなくkintoneのグラフ・集計機能を使うのが確実です。
方法2:生成AI(ClaudeやChatGPT)×kintoneでできること
ClaudeやChatGPTなどの生成AIに、kintoneのデータを渡して分析やレポート作成を任せる方法です。kintone AIよりも自由度が高く、「何と何を比べて、どうまとめるか」を言葉で細かく指示できます。始め方は2段階あります。
ステップ1:CSVを生成AIに渡す(いちばん手軽な方法)
kintoneの一覧からCSVファイルを出力し、生成AIに渡して「前週と比べて変わった点をまとめて」「担当者別に傾向を分析して」と指示します。特別な設定が要らないため、今日からでも試せます。トライコーンの社内活用例も、この方法で成果を出しています(後述)。
ステップ2:MCPでAIからkintoneのデータを直接扱う(応用)
MCP(Model Context Protocol)とは、AIと外部のサービスをつなぐための共通の仕組みです。たとえるなら、AIとさまざまなサービスをつなぐ「共通の差込口」のようなものです。MCPを使うと、AIがkintoneのデータを直接読み書きできるようになり、CSVを出力する手間も省けます。
サイボウズは公式の「kintoneローカルMCPサーバー」を公開しており、Claude Desktopなどのパソコン上のAIツールから利用できます。設定方法はcybozu developer networkの公式ページで案内されています。
・公式のローカルMCPサーバーは、サイボウズのサポート窓口の対象外です。
・AIがどのアプリのどのデータまで扱えるかは、APIトークン(システム同士がデータをやり取りするための鍵)の権限で決まります。必要最小限の権限にしましょう。
・社内で利用が認められたAIサービスを使い、個人情報や機密情報の扱いは社内ルールに従ってください。
方法3:workrun×kintoneでできること
workrun(ワークラン)は、株式会社ベーシックが提供するAIワークフロー自動化ツールです。ノーコードでツール同士をつなぎ、AIが内容を判断しながら業務を進めます。国内外300以上の外部ツールと連携できるのが特徴です。
得意なのは「受付後のフォロー業務」
問い合わせや申し込みを受け付けたあとに発生する、振り分け・通知・返信・登録・転記といった作業の自動化が得意です。kintoneと組み合わせた代表的な使い方には、次のようなものがあります。
- 問い合わせ内容をAIが判断して担当者に振り分け、通知とkintoneへの登録まで自動で行う
- 入金データとkintoneの請求情報を突き合わせて消し込む
- 在庫が一定数を下回ったら発注のアラートを出す
- 工程の進捗をkintoneから関係者に自動で通知する
- kintoneにレコードが登録されたら、Googleドライブに案件フォルダを作る
ベーシック社の公表値では、月300件程度の問い合わせの振り分け・通知を自動化して、月30時間以上を削減した例があります。詳しくはworkrun × kintoneの公式ページをご覧ください。
トライコーンでの取り組み
トライコーンでも、標準の連携だけでは対応しにくい複雑なデータ連携を、workrunを組み合わせて実装する取り組みを進めています。kintoneと複数のツールをまたぐ業務の自動化は、どこで何をつなぐかの設計が成否を分けます。
困りごと別:どれから試すべき?早見表
迷ったら、今いちばん時間を取られている「ちょっと面倒」から選びましょう。いきなりAIを使わなくても、kintoneの標準機能だけで解決できる困りごとも少なくありません。
| 困りごと | おすすめの方法 | 始めやすさ |
|---|---|---|
| Excelの最新版がどれか分からない | kintone標準機能(Excelからアプリ作成) | ★★★ |
| 申請・承認がメールや紙で止まる | kintone標準機能(プロセス管理) | ★★★ |
| 過去の情報を探すのに時間がかかる | kintone AI(検索AI・要約AI) | ★★☆ |
| 毎週の集計・報告に時間がかかる | 生成AI(まずはCSVから) | ★★☆ |
| 問い合わせの振り分け・通知が手作業 | workrun | ★★☆ |
| 受付後の転記・他ツールへの連携が手作業 | workrun | ★☆☆ |
たとえばExcelの置き換えなら、kintoneにはExcelやCSVのファイルを読み込んでアプリを作る機能があり、アプリの作成と同時にデータも取り込めます。結合セルの解除など、ファイルを表の形に整えておくのがコツです。Excel運用の見直しについてはExcelの限界と脱エクセルのチェックリスト、申請・承認の仕組みづくりはkintoneのプロセス管理でワークフローを構築でも解説しています。
6つのアイデアの「始める3ステップ」と注意点は資料で
早見表の6つのアイデアそれぞれについて、よくある困りごと・Before/After・始める3ステップ・つまずきやすい注意点を1ページずつ解説しています。「どれから始めるか」を社内で決める会議資料としてお使いください。
▼資料の中身(一部)
トライコーンの活用事例:kintone×生成AIで実際にやっていること
実施中:週次の売上見込み差分レポート作成が「2名で約2時間」から「約10分」に
トライコーンの営業部門では、kintoneで管理している案件の売上見込み(ヨミ)を、毎週前週と比べて報告しています。以前は、kintoneからCSVを出力し、期末までの案件を前週のリストと目視で突き合わせていました。
kintoneの一覧や集計では「今週の数字」は簡単に出せますが、「1週間で、どの案件の確度や時期がどう変わったか(差分)」を一覧で比べるのは手間がかかります。案件数が多いこともあり、この作業に営業責任者と担当者の2名で毎週約2時間かかり、集計が合わずに作業が止まることもありました。
そこで、毎週CSVを出力し、前週と今週のCSVを生成AI(Claude)に渡し、変化を分類してレポートにまとめる手順を生成AIに覚えさせました。AIは「新規追加」「確度の変化」「ステータスの変化」「時期のずれ」を自動で分類し、サマリー付きの見やすい差分レポートを作成します。作業は約10分で終わるようになりました。

この方法には、レポートの修正を言葉で指示できるという利点もあります。組織変更や担当者の入れ替えがあっても、「この列を追加して」「チーム別に分けて」と伝えるだけで形を変えられるため、エンジニアでない管理者でも運用を続けやすいのが特徴です。なお、CSVの出力はまだ手作業で行っており、MCPを使ったデータ取得の自動化は現在検証中です。予実の管理そのものをkintoneで行う方法はkintoneで予実管理で紹介しています。
検証中の取り組み
当社ではAIの活用をすすめており、現在以下を検証しています。検証後にwebコンテンツとしてお知らせさせていただきます(時期未定)。
- MCPを使ったkintoneデータの自動取得(上記レポートのCSV出力を省く)
- 新規アプリのテスト用レコードを、フィールドの定義に合わせて自動で作成する
- お問い合わせや資料請求のデータを分析する
この事例の進め方も、アイデア集で紹介しています
週次レポートを生成AIで作る手順を「始める3ステップ」で整理し、ダミーデータの画面とあわせて掲載しています。CSVを渡すだけで始められる方法なので、AIを本格的に使ったことがない方にもおすすめです。
▼資料の中身(一部)
AIを活かす土台は「kintoneのアプリとデータ」
kintone AI、生成AI、workrunのどれを選んでも、成果を大きく左右するのはkintoneのアプリの作り方とデータの揃い方です。たとえば、入力のルールが人によって違ったりすると、AIが正しく集計・分類できません。
始める前の5つのチェック
- 対象の業務を1つに絞った
- 項目名や選択肢の表記を揃えた
- 入力のルールを決めた(必須項目、日付の書き方など)
- 誰がどのデータを見られるか(アクセス権)を整理した
- 効果を測る目安を決めた(例:毎週の作業時間)
kintoneを活用したDXならトライコーンへ
トライコーンは、サイボウズのオフィシャルパートナー(コンサルティング・プロダクト)として、kintoneの導入・活用を支援しています。AIを使うかどうかが決まっていなくても大丈夫です。業務の困りごとから一緒に整理し、kintoneでの解決方法をご提案します。
| 支援内容 | 概要 |
|---|---|
| 対面開発 | 業務の課題を対面で伺いながら、その場でkintoneアプリを一緒に作ります |
| カスタマイズ開発・システム連携 | JavaScriptやAPI連携など、標準機能では実現が難しい仕組みにも対応します |
| 伴走支援 | 導入後の改善や、社内で運用できる体制づくりを支援します |
対面開発の進め方や費用の考え方は、kintone対面開発とはで詳しく解説しています。
よくある質問
Q. kintone AIは追加料金がかかりますか?
A. kintone AIは、スタンダードコースとワイドコースで追加料金なしで使えます。毎月、契約ユーザー数に応じたクレジットが付与され、その範囲で利用します。
Q. ライトコースでもkintone AIは使えますか?
A. ライトコースは対象外です。kintone AIを使うには、スタンダードコースまたはワイドコースの契約が必要です。
Q. 生成AIとkintoneを連携するのにプログラミングの知識は必要ですか?
A. CSVを出力して生成AIに渡す方法なら、プログラミングの知識は不要です。MCPを使ってAIからkintoneを直接操作する場合は、APIトークンの発行やAIツールの設定など、ある程度のIT知識が必要になります。
Q. kintoneのデータがAIの学習に使われることはありますか?
A. サイボウズは、kintone AIで顧客のデータをAIの学習に使用しないことを明記しています。ClaudeやChatGPTなど外部の生成AIを使う場合は、各サービスの規約と社内のルールを確認してください。
Q. workrunはkintone以外のツールともつなげられますか?
A. はい。workrunは国内外300以上の外部ツールと連携でき、kintoneを起点に複数のツールをまたぐ業務の流れを自動化できます。
Q. AIを使うかまだ決めていなくても、kintone活用の相談はできますか?
A. はい、ご相談いただけます。トライコーンでは、AIの利用に限らず、業務の困りごとからkintoneでの解決方法をご提案しています。
まとめ:kintone×AIは「小さく試す」ところから
kintone×AIの方法は、kintoneの画面で使える「kintone AI」、データの分析やレポート作成が得意な「生成AI」、受付後のフォロー業務を自動化する「workrun」の3つです。どれが優れているかではなく、今の困りごとに合うものを1つ選び、小さく試すのが成功の近道です。
そして、どの方法でも成果を左右するのはkintoneのアプリ設計とデータです。業種別の活用例はkintoneで業務改善はどこまでできる?業種別の活用事例14選もあわせてご覧ください。
次の一歩を決めるための12ページ
6つのアイデアを困りごと別に整理し、始める3ステップ・注意点・早見表・始める前のチェックリストまでまとめました。社内での共有や、改善テーマを決める会議にそのままお使いいただけます。
自社の業務に合わせて具体的に相談したい方はお問い合わせ(無料相談)からお気軽にお問合せ下さい。トライコーンのkintone導入支援の事例や料金例を知りたい方はサービス紹介資料をこちらからダウンロードください。
出典:サイボウズ株式会社「サイボウズ、『kintone AI』を正式提供」(2026年4月22日)、kintone ヘルプ「レコード一覧分析AI」「スレッド要約AI」「Excelファイルからアプリを作成する」、cybozu developer network「kintone MCPサーバー」、workrun公式サイト。記載内容は2026年10月時点の情報です。「kintone」はサイボウズ株式会社の登録商標です。「workrun」は株式会社ベーシックの登録商標です。


