業務改善のアイデアは浮かんでいるのに、「なかなか形にできない…」と悩んでいる企業は多いはず。そんな企業から選ばれているツールが、業務アプリをノーコード・ローコードで制作できる「kintone(キントーン)」です。
kintoneは思いついた業務改善をすぐ形にできますが、「非IT部門でも扱える?」「自社の課題にもフィットする?」と疑問に感じる方も多いでしょう。すでに30,000社以上の導入実績がある中で、kintoneはどのように活用されているのでしょうか。
本記事では、業種別の具体的な活用事例をはじめ、業務改善に向けたkintoneならではのアプローチや、運用時のポイントをご紹介します。
kintoneで実現できる3つの業務改善効果
kintoneはひとつのプラットフォーム上で、データの登録・管理をするアプリを複数運用できるツールです。自社の課題に合ったアプリを制作することで、「ペーパーレス化」「入力の自動化」「効率的なデータ収集」を同時に実現できます。

上図に記載した具体例のほか、生産や納品のスケジュールを見える化したり、在庫や顧客情報を管理することも可能です。プラグインや外部サービスとの連携機能もあるため、どのような業態でも業務フローに合わせたシステムを構築できるでしょう。
蓄積したデータを活用し、受注傾向や利益率などの経営分析ができることもkintoneの魅力です。現状の課題解決だけではなく、将来のリスク要因にも備えられるため、kintoneは企業の持続的な成長をサポートしてくれます。
kintoneが業務改善に役立つ理由

kintoneの強みは、直感的な操作でさまざまなアプリを制作しながら、各業務を横断的につなげられることです。売上データや顧客リスト、日報(報告書)などを連携できるため、部門をまたいだシステム設計を行うことにより、「部署ごとの最適化」と「全社的な業務改善」を同時に図れます。
実際の活用事例を見る前に、まずはkintoneの基本機能や業務改善に役立つポイントを整理しましょう。
1.現場にフィットしたアプリをすぐ制作できる
kintoneには、アプリのひな型となるテンプレートや、ドラッグ&ドロップで操作できるカスタマイズ機能が備わっています。そのため、社内のIT部門に依頼しなくても、現場の担当者自身が業務改善につながるアプリを制作できます。
●無料で公開されているアプリの例 ・顧客リスト(会社名や担当者名、顧客情報を管理する) ・日報(日々の業務や報告事項などを登録できる) ・受注・売上管理(受注後の請求や入出金を管理する) ・製品在庫管理パック(在庫数を効率的に管理する) ・契約書管理(書類作成や添付、確認までをワンストップで管理する) |
サンプルアプリについては、kintoneの公式サイトでも確認できます。

ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、各アプリを柔軟にカスタマイズできます。
課題にフィットするサンプルアプリがなくても、入力項目や登録データなどのカスタマイズにより、さまざまな業務に対応するアプリを制作できます。既存のファイル(xlsxやCSV)をもとにアプリを制作する機能もあるため、これまでに蓄積したデータが無駄になることもありません。
2.データの一元管理と見える化を実現できる
kintoneのプラットフォーム上では、複数のアプリ同士を連携させることが可能です。例えば、「顧客リスト」と「受注・売上管理」を連携させると、入力した情報がアプリ間でリアルタイムに反映され、顧客別の請求情報を一覧表示するようなシステムを構築できます。
●アプリ連携によるシステムの例 ・「案件管理」と「日報」の連携で、プロジェクト全体の進捗と現場状況を比較する。 ・「商品マスタ」と「備品在庫管理」の連携で、品番ごとの在庫数をリアルタイムで管理する。 ・「タイムカード」と「旅費精算申請」の連携で、出張も含めた勤怠管理を徹底する。 |
アプリの組み合わせ次第では、異なる部署間に散らばっていたデータを一元管理できるでしょう。また、kintoneにはグラフ機能が備わっているため、経営データの見える化にも役立ちます。

上図のほか、kintoneでは円グラフや面グラフ、クロス集計表などでデータを表示することも可能です。
3.連携できる外部サービスやプラグインが豊富
kintoneは、200以上の外部サービスやプラグインとの連携が可能です。専用の拡張機能サービスや、パッケージ化された連携サービスもあるので、組み合わせ次第であらゆる業務に対応するシステムを構築できます。
●外部サービスやプラグインとの連携例 ・kintoneに登録したデータを、帳票作成ツールに読み込ませて見やすいデザインで出力する。 ・kintoneで作成した契約書を、ワンクリックで電子署名サービスに送信する。 ・kintoneに登録した経費申請データを、会計システムに自動で送信する。 |
弊社は2025年3月に、kintoneとCRM SaaS「クライゼル」を簡単に連携設定できる「kreisel Webhook クリエイター for kintone」と「kreisel コネクター」をリリースしました。「クライゼル」は、Webフォームや会員サイトを手軽に作成できるサービスで、kintoneとの双方向データ連携が可能です。
kintoneとの連携により、問い合わせフォームのデータを顧客リストに蓄積したり、特定の顧客にメルマガを一括送信したりするシステムが構築できます。CRM(顧客関係管理)の業務改善を実現したい企業様は、クライゼルの公式サイトもご参照ください。
クラウド型CRMプラットフォーム クライゼル| フォーム作成・メール配信・顧客管理
kintoneはどこまで業務改善できる?業種別の活用事例
kintoneを導入すると、どのような業務をどこまで改善できるのでしょうか。以下では業種別の活用事例に加えて、蓄積したデータをどのような経営分析に活用できるかをご紹介します。
【製造業】「データ連携」と「見える化」で工程管理を効率化
製造業の活用例としては、受注データをもとにした製造指示書の自動作成や、日報作成を電子化するアプリなどがあります。ほかにも部品や原材料の在庫を管理したり、スケジュールを可視化したりなど、納期遅延を防ぐためのシステムも見られます。

各アプリを連携すると、以下のような経営分析を行うことも可能です。
●製造業における経営分析の例 ①「受注・売上管理」「顧客リスト」「案件管理」の連携 ・顧客別や商品別、地域別の受注傾向 ・営業担当者ごとの成約率 ②「生産進捗管理」「製造指示」「製品マスタ」の連携 ・工程ごとの平均作業時間 ・担当者別の滞留時間 ③「受注・出荷管理」「案件管理」「納品書作成アプリ」の連携 ・発注から納品までの所要時間 ・納期遅延の件数や、原因の特定 |
ここからは、実際に業務改善を成功させた2つの事例をご紹介します。
事例1.個々のレベルに合わせた日報アプリ/光成工業
kintone導入チームを結成し、まずは日報をkintone上で制作することから始めました。社内全体の使用率を高めるために、ベテラン社員には入力画面をシンプルにしたアプリを用意。
複数の日報アプリにまたがるデータを自動集計するために、kintone専用のプラグインである「krew Data」も導入しました。
参考:サイボウズ株式会社「光成工業 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.RPAを活用した基幹業務システム/Local Power
kintoneの外部サービス連携を活用し、大規模な基幹業務システムを構築した事例です。
kintoneの導入当初は、受発注から会計までを連動させた「受発注システム」を制作し、RPAツール(ロボティック・プロセス・オートメーション)とも連携させながら、データ入力や操作を自動化するシステムを構築しました。2021年12月時点では460以上のアプリとSaaSの連携により、受注から請求までを効率化することに成功しています。
参考:サイボウズ株式会社「Local Power – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【卸売・小売業】脱エクセルで入力作業や情報共有を加速
kintoneのアプリストアでは、卸売・小売業の受発注データや顧客リスト、店舗日報などを管理できるサンプルアプリが公開されています。外部サービスとの連携により、各拠点の売上データをリアルタイムで反映したり、フォームからの問い合わせ内容を自動記録したりするシステムも構築できます。
各業務の手作業を減らせるため、卸売・小売業で起こりがちな入力ミスや発注ミスを防げるでしょう。

各アプリで蓄積したデータは、以下の経営分析にも活用できます。
●卸売・小売業における経営分析の例 ①「受注・売上管理」「店舗日報」「予算・実績管理パック」の連携 ・店舗別や拠点別の売上ランキング ・利益率の高い店舗や商品の抽出 ②「顧客リスト」と「クライゼル」の連携 ・月別の営業的な問い合わせ数の傾向 ・サポートお問合せ数やトラブル解決までの時間測定 ③「仕入先マスタ」と「受注・発注管理」の連携 ・仕入先別の発注頻度や取引額の推移 ・納期遅延が起こりやすい仕入先の特定 |
卸売・小売業についても、実際の活用事例を見てみましょう。
事例1.受発注業務の脱エクセル化/東急
エクセルで行っていた受発注業務をkintoneに移行し、登録ミスや転記ミスを減らすことに成功しました。プラグインの活用により、取引先がWebフォームに入力したデータを、すぐさま商品マスタに反映するシステムも構築しています。
発注書のPDF化やメール送信も自動化したことで、急な受注増にも対応できる体制を整えました。
参考:サイボウズ株式会社「東急 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.一元管理とナレッジ化で情報共有をスピードアップ/ヤマウチ
EC事業のデータを一元管理する目的で、BtoBでは顧客案件を管理するアプリ、 BtoCではサイトコンテンツを管理するアプリを制作。顧客からの問い合わせと回答例をナレッジ化するために、サンプルアプリの「FAQ」も活用しました。
さらなる業務改善に向けて、外部スタッフとの制作進行管理もkintoneに移行することを検討しています。
参考:サイボウズ株式会社「ヤマウチ – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【建設業】ペーパーレス化で見落としを防ぎ、安全性もアップ
建設業についても、kintoneのサンプルアプリで見積書や日報をデジタル化することが可能です。また、アプリ同士や外部サービスとの連携により、在庫状況や現場のチェック項目を見える化するシステムも構築できます。

業務フロー全体にkintoneを導入すれば、現場から経営まで一貫したデータが蓄積されるため、以下のような経営分析が可能になるでしょう。
●建設業における経営分析の例 ①「受注・売上管理」「建設工事日報パック」「予算・実績管理パック」の連携 ・現場や工程ごとの原価チェック ・予算超過を誘発する原因の特定 ②「プロジェクト管理」と「建設工事日報パック」の連携 ・工期変更が起こりやすい作業の特定 ・スケジュール通りに進む現場と、作業遅れが生じる現場の違い ③「QSCチェックリスト」と「安全対策パック」の連携 ・ヒヤリハットが起こりやすい時間帯やエリア ・品質不備が起こりやすい項目のランキング化 |
実際にどのような業務改善が行われているのか、以下では2つの事例をご紹介します。
事例1.採用人数から歩留まりを予測/後藤組
まずはシンプルな日報アプリを開発し、若手社員が中心の部門でkintoneを運用しました。かつては各業務を「紙・電話・FAX」で済ませる老舗会社でしたが、独自の資格制度やワークショップを実施したことも影響し、現場全体のデジタル化が進みます。
新卒採用管理にもkintoneを活用し、目標の採用人数から歩留まり(実際の成果)を自動計算するシステムも構築しました。
参考:サイボウズ株式会社「後藤組 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.kintoneで現場状況を管理し、タブレットで表示・調整/住友不動産
現場ごとの写真や図面などをkintoneで一元管理し、タブレットで閲覧するシステムを構築した事例です。3つのフェーズに分けて開発を行い、最終的にはタブレット上の図面に変更点や是正指示を書き込めるシステムが完成しました。
アクセス権の調整により、外部委託先から図面を直接アップロードできる仕組みも構築しています。
参考:サイボウズ株式会社「住友不動産 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【情報通信・IT業】データの一元化で営業面もサポート
情報通信業やIT業では、主に複雑なデータや要件を一元管理するためにkintoneが活用されています。また、進捗をリアルタイムに共有する仕組みがあれば、想定外のトラブルや納期遅れを防ぐことも可能です。

クライゼルやチャットツールとの連携により、kintoneをSFA(営業支援システム)として運用する方法もあります。3つのツールを連携すると、例えばクライゼルからのお問い合わせをSlackで確認し、専用のフォームで営業担当者をアサインするようなシステムを構築できます。
営業部門の業務改善を目指している企業様は、下記の記事もご参照ください。
kintone(キントーン)をSFAとして活用!機能や活用事例、おすすめのプラグインも紹介 | トライコーンラボ
kintoneで営業活動から請求フローまでを一元管理すると、以下のような経営分析が可能になります。
●情報通信・IT業における経営分析の例 ①「クライゼル」「案件管理」「受注・売上管理」の連携 ・よくある営業的なお問い合わせの傾向と受注率管理 ・アフターコストが多い製品や顧客の抽出 ②「プロジェクト管理」「ソフトウェア開発管理」「レビュー履歴」の連携 ・各工程の作業日数や、工数のばらつきを比較 ・作業遅れが発生しやすい工程と、その原因の特定 ③「契約書管理」「レンタル機器管理」「受注・売上管理」の連携 ・案件単位の粗利や利益率のグラフ化 ・契約金額に対するコストから、不採算案件の傾向を把握 |
ここからは、情報通信・IT業におけるkintoneの活用事例をご紹介します。
事例1.5部門にまたがっていた業務を一元化/ポスタス
POSレジの受注後に発生する業務を、kintoneで構築した基幹業務アプリで一元化した事例です。受注登録や作業依頼、発注、請求などのフローをkintoneに移行したことで、5部門にまたがっていた業務を効率化させました。
ほかにも「1日のタスク洗出しアプリ」や「捺印申請アプリ」を独自に制作するなど、システム開発の内製化にも挑戦しながら業務改善を図っています。
参考:サイボウズ株式会社「ポスタス – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.見積業務のフォーム申請でナレッジを蓄積/NECネッツエスアイ
kintone連携サービスの「フォームブリッジ」を活用し、Webフォームから見積依頼ができるシステムを構築。メールで行っていた見積作業が効率化されたことで、月2,880時間の工数削減を実現しました。
毎月約600件の回答データがナレッジとして蓄積されるため、新人社員でも最適な取引先を選べるシステムに仕上がっています。
参考:サイボウズ株式会社「NECネッツエスアイ – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【医療・福祉】患者情報の共有でサービスやケアを向上
医療・福祉の分野では、主にペーパーレス化や情報共有の手段としてkintoneが活用されています。患者や入居者のデータを一元化するサンプルアプリも充実しており、組み合わせ次第では個人情報とバイタル情報などの紐づけも実現できます。

医療・福祉の分野でも、各アプリの連携によってさまざまな経営分析ができます。
●医療・福祉における経営分析の例 ①「入居者管理」と「入居者ケア記録」の連携 ・入居者ごとの訪問頻度やバイタル情報を時系列で把握 ・ケアや提供サービスの偏りを可視化 ②「タイムカード」「訪問介護記録」「受注・売上管理」の連携 ・スタッフ別の稼働率を把握し、シフト調整に活用 ・「人件費対サービス提供数」の収支バランスを可視化 ③「問診票」と「受注・売上管理」の連携 ・保険種別の収益構造や収支バランスを可視化 ・レセプトの作成状況を集計 |
実際にどのようなシステムが構築されているのか、以下では2つの事例をご紹介します。
事例1.手書き業務のデジタル化で転記作業をカット/医療法人社団福寿会はくちょう訪問看護リハビリステーション
デジタルノートの「CamiAppS」とkintoneの連携で、訪問介護の実績をデジタルで記録するシステムを構築しました。かつては現場でメモを取り、事務所に帰ってから転記作業を行っていましたが、本システムの開発によって一連の業務をカット。
また、kintoneを医療専門データベースの「Pnote’s」と自動同期させることで、CamiAppSからも最新情報を参照できるようにしています。
参照:サイボウズ株式会社「医療法人社団福寿会はくちょう – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.全関係者で患者データを共有/ゆうの森
地域一体型の医療を目指して、あらゆる関係者がkintone上で患者データを共有するためのシステムを開発しました。蓄積したデータはカンファレンスに活用されており、全員が同じ画面を見ながら包括ケアの方針を統一しています。
また、情報共有によって当番制の運用が可能になり、24時間365日のサービス提供を実現しました。
参照:サイボウズ株式会社「ゆうの森 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【サービス業】コミュニケーションコストを削減
顧客との接点が多いサービス業では、kintoneでコミュニケーションコストを抑える事例が多く見られます。また、スタッフの勤怠管理や売上管理、弁当などの予約管理にもkintoneを活用することで、業務フロー全体の改善を図れます。

kintoneに顧客情報や売上データを蓄積すると、サービス業では以下のような経営分析が可能です。
●サービス業における経営分析の例 ①「店舗日報」と「顧客リスト」の連携 ・顧客属性(年齢や性別など)に応じた売上構成比 ・常連客の割合や傾向 ②「店舗日報」と「受注・売上管理」の連携 ・天候別や曜日別の売上データを可視化 ・極端に売上が伸びている(または落ち込んでいる)店舗の特定 ③「店舗クレーム対応管理」「アンケート」「顧客リスト」の連携 ・クレーム種別ごとに、どのようなトラブルが多いかを抽出 ・顧客属性に応じたクレーム種別の割合 |
実際にどのような業務改善が図られているのか、ここからは2つの事例をご紹介します。
事例1.担当部署の振り分けで対応工数削減/幸楽苑ホールディングス
kintoneと外部サービスの連携により、問い合わせ管理をシステム化した事例です。kintoneやメールワイズで担当部署を振り分け、「いつ・誰が・どんな対応をしたのか」をデータとして蓄積するシステムを構築しました。
また、担当者が本文の制作(問い合わせ対応)に集中するために、返信内容の一部はひな形としてシステムに登録しています。
参考:サイボウズ株式会社「幸楽苑ホールディングス – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.新設したゲストサービス課に問い合わせを集約/ロイヤルホテル
ホテルの問い合わせ窓口を一本化するために、kintoneを導入した「ゲストサービス課」を新設。顧客からの問い合わせ先はゲストサービス課に集約され、その内容に応じて担当部署へ連絡する体制を構築しました。
15名ほどのスタッフでkintoneの導入範囲を広げており、予算や通勤手段を管理するためのアプリも制作しています。
参考:サイボウズ株式会社「ロイヤルホテル – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
【士業・コンサル業】業務アプリの連携でフローを見える化
士業やコンサル業では、主に案件や契約の管理にkintoneが活用されています。また、利益相反チェックや就業規則の管理ができるなど、各事務所の業務に特化したサンプルアプリもあるので、業態によっては手軽に業務改善を図れるでしょう。

各アプリや外部サービスを連携すると、士業・コンサル業では以下のような経営分析が可能です。
士業・コンサル業における経営分析の例 ①「案件管理」「契約書管理」「業務特化アプリ(助成金申請管理など)」の連携 ・各プロセスの処理日数をグラフなどで見える化 ・案件全体で停滞しやすいプロセスを抽出 ②「案件管理」「経費管理」「受注・売上管理」の連携 ・収益性が高い案件(または顧客)の傾向を把握 ・月次や四半期ごとの売上推移や粗利率 ③「日報」と「アンケート」の連携 ・顧客アンケートのスコアと、「誰がどんな対応をしたか」を紐づけ ・サービス内容別の顧客満足度をグラフ化 |
ここからは、士業・コンサル業で業務改善をした事例をご紹介します。
事例1.既存データから2つのシステムを構築/MJE
9つのアプリをkintoneで自作し、採用管理や顧客管理(SFA)のフローを改善した事例です。既存のデータ(Excelファイル)をそのまま活用することで、わずか2週間で新規事業システムと採用管理システムを完成させました。
採用管理などに使っていた外部ツールが不要になったため、年間100万円のコスト削減も実現しています。
参考:サイボウズ株式会社「MJE – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
事例2.業務の可視化でタスク分担を最適化/辻野社会保険労務士事務所
kintoneで7つのアプリを制作し、「だれが・どの業務を・どれくらい抱えているか」を可視化したシステムを構築。顧客管理用のアプリである「見える顧客」を中心に、案件管理や案件処理、日報、受付などのアプリを連携させました。
タスク分担を最適化するために、担当者別の業務量や顧問先別の対応件数などをグラフ化しています。
参考:サイボウズ株式会社「辻野社会保険労務士事務所 – kintone(キントーン)導入実績30,000社 – 導入事例 | サイボウズの業務改善プラットフォーム」
kintoneの業務改善効果を上げるステップ
kintoneで業務改善を図るには、現場の課題にフィットしたアプリを制作し、連携機能を使いこなすことが重要です。より多くの業務フローを一元化するために、下記のステップで導入準備を進めましょう。
- 1.具体的なゴールを設定する
- 2.業務フロー図を作成する
- 3.現状や課題を業務フロー図に書き込む
- 4.アプリ化する業務を決める
- 5.目的に合ったアプリやプラグインを探す
ここからは各ステップに分けて、実際の流れを解説します。
1.具体的なゴールを設定する
kintoneで業務改善を図るには、「なにを変えたいか」「どうなれば成功か」を明確にすることが重要です。アプリを採用する際にも判断基準が必要になるため、まずは具体的なゴールを設定することから始めましょう。
以下のように数値を用いると、導入後の成果を測定しやすくなり、社内の意思統一を図ることにもつながります。
●ゴールの例 ・紙ベースの資料を90%減らし、印刷代や郵送代を月10万円削減する ・日報や報告書の作成フローを見直し、残業時間を1人あたり月20時間削減する ・データ化したアンケートでサービス改善に取り組み、顧客満足度を15%アップする |
ゴールの設定後には、現場も含めた関係者全員に共有しましょう。全関係者が方向性を理解できていると、現場から細かいフィードバックが届きやすくなるため、全体最適を目指す環境が整います。
2.業務フロー図を作成する
業務フロー図とは、各業務で発生する具体的なプロセスを細分化し、順序やルールなどを追記して関係性をまとめた図です。業務全体を可視化することで、「どこに課題があるか」「遅れやすいプロセスはなにか」を分析しやすくなるため、kintoneの対象業務を決める際に役立ちます。
参考として、以下では製造業を例にした業務フロー図をご紹介します。

業務フロー図は社内に共有する資料なので、誰が見ても分かりやすい図にすることが重要です。また、各プロセスのボックスに作業時間(所要時間)を記入すると、課題がある業務を特定しやすくなります。
3.現状や課題を業務フロー図に書き込む
次は、「無駄な作業はないか」や「待ち時間がないか」を意識しながら、現状や課題を業務フロー図に書き込んでいきます。各現場にもヒアリングをしながら、気になるポイントを以下のように追記しましょう。

また、各プロセスのボックスに、使用している資料を書き込むアプローチも有効です。「同じ資料を使っているプロセス」や「複数の資料で共有している情報」をまとめておくと、プロセス間・資料間のつながりを意識したシステムを構築しやすくなります。
4.アプリ化する業務を決める
業務フロー図を作成したら、以下の観点でアプリ化する業務を決めていきます。
●アプリ化が望ましい業務 ・業務フロー図に書き込んだ課題が多い ・さまざまな資料を使っている(参照するデータが多い) ・データの集計や更新に手間がかかっている ・現場から改善を求める声が多い |
kintoneでは多くのサンプルアプリが用意されていますが、まずは「少ないアプリで解決できないか」を考えましょう。アプリが乱立すると、それぞれの使いどころや関連性が複雑になり、属人的なシステムになってしまう可能性があります。
アプリ化する業務を決めたら、登録する具体的なデータや要件をまとめましょう。
5.目的に合ったアプリやプラグインを探す
ひな型がなくてもkintoneのアプリは作れますが、最初はサンプルアプリを活用すると便利です。「どんなデータを整理したいか」を意識しながら、目的に合ったサンプルアプリを探しましょう。
システム全体の構成としては、メインになるアプリをひとつ決めて、不足している機能は別のアプリやプラグイン、外部サービスで補うと分かりやすくなります。例えば、前述の業務フロー図は計画策定のプロセスが多いため、「案件管理」などがメインアプリの選択肢になるでしょう。
大まかなシステム構成が決まったら、使用するアプリをkintone上で追加し、要件に合わせてカスタマイズしていきます。
kintoneをスムーズに運用するコツ
実際にkintoneを運用すると、「現場が使ってくれない」「アプリの乱立で管理画面が見づらい」などの悩みが生じることもあります。改善したい業務が多すぎて、理想のシステムを構築できないケースもあるでしょう。
業務改善の効果を高めたい方に向けて、ここからはkintoneをスムーズに運用するコツをご紹介します。
システム全体の設計をイメージする
思いつきでアプリを増やす方法もありますが、無計画なアプリ制作はさまざまな弊害を招きます。また、作成者しか扱えないアプリの制作は、個別最適にしかつながりません。
全体最適の業務改善を実現したい場合は、kintone上のアプリ構成を「ひとつのシステム」と捉えて、全体像を理解しながらアプリ制作を進めましょう。「どのアプリがどんなデータを扱うか」「データをどのアプリと連携するか」を図示しておくと、システム全体の設計をイメージしやすくなります。
制作したアプリをこまめに整理する
業務改善を実現するためのアプリでも、乱立によって管理画面が複雑になると、かえって効率を下げてしまう可能性があります。現場での使用率を高めるためにも、制作したアプリはこまめに整理しましょう。
●kintone上のアプリを整理する方法 ・アプリの名称を変える(部門や用途などを明確にする) ・不要なアプリを削除する ・本番用とテスト用を区別する ・アプリの制作者や目的、作成日などを記録しておく ・用途別に分かりやすいアイコンを設定する |

なお、削除したアプリのデータは復元できないため、必要に応じてバックアップを取ってください。
導入支援サービスを活用する
システム設計やアプリ制作が進まない場合は、kintone導入支援サービスの利用がおすすめです。導入支援サービスでは、業務課題を踏まえて専門家がアプリを設計してくれるため、細かい要件定義ができない企業でもシステムを構築できます。
サイボウズオフィシャルパートナーの当社も、プラグインや外部サービスとの連携、伴走支援までを含めた導入支援サービスをご提供しております。累計1,000社以上のCRM業務をサポートしてきたノウハウがあるため、顧客管理を含めた複雑なシステムも設計可能です。
アプリの改修についてもサポートしておりますので、すでにkintoneを導入している企業様もお気軽にお問い合わせください。
kintoneで業務改善を加速させよう
kintoneは業種や規模を問わず、さまざまな企業の課題を解決できるツールです。複数のアプリやプラグイン、外部サービスとの連携により、業務フロー全体を改善することができます。
豊富なサンプルアプリや導入支援サービスも用意されているため、非IT部門でも問題なく扱えるでしょう。本記事の事例やポイントを参考にしながら、kintone導入に向けた計画を立ててみてください。