DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、プログラミング知識が必要とされ始めています。しかしITスキルに自信のない方や、時間がなくてプログラミングに時間を割けない方もいるでのはないでしょうか。ローコード開発ツールを利用することで、高度なプログラミングのスキルがなくても高セキュリティかつ高品質なアプリケーションを、コストを抑えて素早く作成できます。
この記事では、ローコード開発についてのメリットや開発ツール選定のポイントについて解説しています。
なお、自社の業務フローに合ったシステムを高品質で作成できるツールをお探しなら、クライゼルをローコード開発ツールとしてご利用ください。
ローコード開発とは?
ローコード開発とは支援ツールなどを活用して可能な限りソースコードを書かずに、コーディングの工数を減らし、アプリケーションを迅速に開発する開発手法のことです。
ローコード開発は、「2025年の崖」の回避につながると期待されています。「2025年の崖」は、2018年に経済産業省がまとめたレポートにより注目を集めた言葉です。
▼2025年の崖(経済産業省レポート)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
「2025年の崖」では多くの企業が老朽化したシステムを刷新できず、結果的に膨大な額の経済損失が起きると考えられています。ローコード開発ツールやそれによるシステム開発は、ITシステムが機能不全に陥ることの回避にもつながります。
ローコード開発と従来の開発方法の違い
従来の開発では、プログラマーが手打ちでプログラムを作成していました。従来型だと実装する機能が複雑であるほど、相応の工数が必要なうえ、高いITスキルや経験が必要でした。
ローコード開発は、手打ちによるコーディング作業や部品ごとの設計作業を、最小限に抑えてソフトウェア開発を可能にします。ソースコードに対して、人の手が加わる回数を抑えられるので、バグの発生確率の低下や、エンジニアの人件費の削減にも期待できます。
また、ローコード開発のほかに、「ノーコード開発」があります。
「ノーコード」とはコードを使わない開発のことで、ソースコードの記述なしで、アプリケーション開発が可能です。ノーコード開発はソースコードを記述せず、ローコード開発はできる限りソースコードを書かない開発を指します。
プログラムを書く量で分類すると、主に3つの開発スタイルに分けられます。
- ノーコード開発:プログラムを書くことがない
- ローコード開発:ツールを利用して部分的にプログラムを書く
- スクラッチ開発:システムをゼロから開発するのでプログラムを大量に書く
注目される背景
IT業界の技術革新はめまぐるしく、これらの変化に迅速かつ柔軟に対応しなければ、効率的で利便性の高い業務は実現できません。
近年ではデジタル技術の活用で、ビジネススタイルやライフスタイルをより良いものに変えていくDX(デジタルトランスフォーメーション)の実行が求められています。DXはアプリケーション開発の手法に対しても同様で、開発速度や安定性、品質など、あらゆる部分での変革が必要です。
ITを活用した業務は増加しますが、2018年時点でIT人材は約17万人も不足しており、2025年には約43万人までの拡大が懸念されています。そのなかでローコード開発は、高度なプログラミングスキルを必要とせず、効率的な業務ができるので注目されています。
ローコード開発のメリット
ローコード開発は、コストを抑えつつ開発スピードを高速化できる点が大きなメリットといえます。さらには高品質で高セキュリティなアプリケーション作成にも役立ちます。ここからは、ローコード開発の4つのメリットについて解説していきます。
初期開発費用のコストダウン
ローコード開発により開発にかかる期間短縮ができ、作業工程の省略により、開発工数の削減を可能とします。ひとつの開発に関わる人員の削減により、ほかの開発業務に人員を割け、初期開発費用のコストダウンが期待できます。
また、ローコード開発の採用で、システム開発担当者の育成コストを抑えることも可能です。非エンジニアでもアプリケーション開発ができるので、システム開発の内製化を推進できます。
さらに高度な技術や知識が少なくても社内開発できれば、外注にかかるコスト削減ができる点もメリットといえるでしょう。
開発スピードの高速化
ローコード開発は、コード入力を極力減らしており、開発工程が簡略化されているので、開発スピードの高速化が期待できます。
アプリケーション開発やシステム構築に、最も時間を要するのが、開発・実装(コーディング)です。特に新規システム・新規アプリケーション開発の場合、多くの時間がかかります。
ローコード開発の導入により、コーディングにかかる時間が大幅に削減でき、開発にかかる時間の短縮につながり、市場ニーズにスムーズに対応できるでしょう。
品質向上
ローコード開発プラットフォームでは、再利用可能な機能やフローを利用できることがあります。これにより、標準的な機能やパターンを利用して品質を向上させることができます。
ゼロから人間がコードを記述すると、記述ミスの発生は避けられません。ミスを発見した場合、取り除くためのデバッグ作業に時間がかかりますが、その作業を短時間化できます。
また、ローコード開発では非エンジニアが、ユーザーのニーズを取り入れたアプリケーションを開発したい場合にも、有益なものとなります。現場の人物が主体となり開発できるので、業務要件のミスマッチを防ぐことができ、ユーザーの目線に立った高品質な開発が可能です。
セキュリティ対策負担の軽減
ローコード開発プラットフォームによっては、情報を守るセキュリティ対策が施されている場合が多いです。自社でゼロからソフトウェアを開発する場合は、機能を開発するだけではなく、セキュリティ対策を施したり、予期せぬ挙動をしないか、しっかりとテストをする必要がありました。
プラットフォーム側ですでにセキュリティ面の対策が施されている場合は、その部分の開発やテストが不要になるので、負担が大幅に減ります。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発は、操作性が便利な一方で、機能制限や細かな機能の実現は難しい場合もあります。ここからは、ローコード開発の4つのデメリットについて解説します。
ツール独自の知識が必要
ローコード開発は、技術的なハードルが低いことがメリットですが、細かい調整には専門的な知識が必要です。さらに、品質のより高いシステムの構築には、プログラミング知識のないユーザーだけでは開発は難しいでしょう。
特に多くの機能を備えたツールを使用する場合、プロジェクトメンバー全員が使い方を習熟する必要があります。
ローコード開発を本格的にスタートするには、ツール独自の知識が必要であり、学習に時間がかかる点がデメリットといえるでしょう。
機能の制限
ローコード開発は、コーディングによる調整ができますが、企業固有の機能の実装や細かなデザイン調整ができない場合もあります。ローコード開発はプラットフォーム上で操作可能な範囲に限界があり、ツールに初めから備わっているテンプレートや、標準機能をベースに開発します。そのため、イレギュラーな機能や高機能なシステムを作成する場合、すべての要望を満たせないことがあります。
そのため、ゼロからのプログラミングと比較すると、自由度が低い点がデメリットといえるでしょう。
大規模で複雑なシステムには要注意
ローコード開発は機能制限が多く、プログラミング言語やライブラリ、フレームワークなどを使い開発するよりも自由度が低くなり、大規模な業務システムでの開発には対応できない場合があります。大規模で複雑なシステムを作る場合、カスタマイズ性が高いローコード開発プラットフォームを選択しましょう。
細かな機能を実現できない
従来の開発手法は、顧客からの要望に応える「オーダーメイド形式」での開発が多く、細かな要件や機能に柔軟に対応できました。しかしローコード開発は、開発ツールに搭載されたパーツを使い、実装するシステムです。複雑なビジネスロジックや高度な要件に対応するのが難しい場合があります。
ローコード開発ツール選定のポイント
ローコード開発ツールを選ぶ際は、セキュリティの高さやコストについてはもちろん、機能性も重視しなければなりません。ここからは、ローコード開発ツール選定のポイントについて、4つ解説します。
セキュリティ
ローコード開発ツールのセキュリティ対策は、プラットフォームなどの運営側に依存します。ローコード開発ツールは簡単に利用できる一方で、システムのセキュリティ対策はユーザー側で設定することはできません。
提供されたツールの安全性がどのくらいなのかを把握できず、対応策を講じることは難しいといえます。そのため、ローコード開発ツールを選ぶ際は、国際的なセキュリティ規格ISO/IEC 27001 : 2013、ISO/IEC 27017:2015やプライバシーマークなど、ツール提供社側が第三者機関から認証を取得しているか、確認しましょう。
コスト
ローコード開発ツールの利用にあたっての初期コストは、採用するツールによって無料・有料と異なります。
月額費用に関しては課金体系が運用するユーザー数課金であることが多いので、採用時には確認が必須です。ユーザーそれぞれが課金対象となれば、ビジネス拡大の際にランニングコストが大きくなるリスクがあります。ローコード開発ツールはそれぞれ課金体系が違うので、ツールを選ぶ際は注意しましょう。
また、ローコード開発ツールのプランによっては、レコード数や添付ファイル容量が異なるツールもあります。経費処理や給与計算、タスク管理など、開発したいシステムなど、実装したい機能を備えているツールを選びましょう。
拡張性
ローコード開発ツールは、開発後も機能変更・追加、既存のシステムと連携する必要があります。そのため、ローコード開発ツールを選定する際は、「機能の拡張性」と「外部システムとの連携機能」が選定のポイントとなります。業務システムは1つのシステム内で処理を完了するというケースは少なく、外部システムと連携した業務処理をする場合がほとんどです。
そのため、開発完了後に追加の要件があった場合、柔軟に対応できるのか、拡張性を確認しつつローコード開発ツールの選定をしなければなりません。
カスタマイズ性
ローコード開発ツールは、操作性を簡単にするためのコンポーネントやテンプレートの提供により、開発スピードが高速化しています。一方で、ローコード開発は、プログラミングによる開発と比べると自由度に制約があり、カスタマイズ性が低い点がデメリットです。
独自のアプリケーションの開発や、特定の業界に向けた機能を求めると、ローコード開発ツールのテンプレートでは実現が難しい場合もあるでしょう。
しかし、ドラッグアンドドロップの簡単なインターフェースを通じて、業務アプリのカスタマイズができるツールもあります。
ローコード開発ツールによって、カスタマイズ性が異なるので、用途に合わせた最適なツールを選びましょう。
まとめ
この記事では、ローコード開発のメリットから選定のポイントを解説しました。ローコード開発は操作が比較的簡単で扱いやすい点がメリットです。自社に合ったローコード開発プラットフォームを選択すれば、素早く高機能なシステムを構築できるでしょう。
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