複数人が関わり、煩雑になりがちな申請業務。紙やファイルでの申請だと時間と手間がかかったり、ワークフローが統一されていなかったり、なにかとお悩みの方も多いのでは?
そんな申請業務のワークフローにまつわるさまざまな悩みも解決できるのが、サイボウズ社が提供するkintone(キントーン)。各種申請業務の電子化、紙の電子化、DX推進の1つとしておすすめなのが、kintoneでのワークフロー構築です。今回は、ワークフローの設定や作り方、おすすめのプラグインや事例などをご紹介します。
kintoneでのワークフロー構築や導入支援をお探しでしたら、トライコーンにお任せください。トライコーンはサイボウズ社のオフィシャルパートナーであり、kintoneに関する豊富な知識がございます。
kintoneを活用したワークフロー改善事例を含んだ弊社「kintone導入支援サービス事例」資料はこちらからダウンロードいただけます。
kintoneの導入支援サービスはこちらをご覧ください。
kintoneのワークフローでどんなことができる?
経費申請、契約書申請、労務業務といった、さまざまな申請業務ワークフローでの困りごとというと、「紙で承認を回しているから時間がかかる」「上長が外出しがちでいつまでたってもハンコを押してもらえない」「申請手段や承認フローが統一されていないから都度確認が必要」などが挙げられるでしょう。
kintoneでワークフローを構築すれば、「紙を使わずいつでもどこからでもクラウド上で申請→承認が完結!」「申請業務のプロセス管理が可能になり、現在のステータスや『次に誰がなにをすべきか』を可視化できる!」と、ワークフローにまつわる困りごとをサクっと解決できます。
kintoneにはワークフローを効率化する便利なサンプルアプリ「ワークフロー(社内申請管理)パック」が用意されています。ぜひ活用してください。
ワークフロー(社内申請管理)パック
申請業務でよく使われる「交通費申請」「出張申請」「物品購入申請」の3種の申請フォームが入ったパックです。
ワークフローは業務に合わせて自由に設計できるので、「この申請に関しては複数人の承認がほしい」「こういうパターンの場合は承認フローをAさんからBさんに切り替えたい」といった細かな設定も可能なのが嬉しいポイント。
交通費申請フォームは、計算式の設定で合計金額を自動的に計算することもできます。また、出張中に発生した交通費の立替金は出張申請フォームから申請できるため、複数のアプリであれこれ申請する必要がなく、手続きの煩雑さやミスの回避にも役立ちます。
承認者には通知が飛ぶので、対応漏れも防ぎやすくなっていて安心ですね。
kintoneを活用したワークフローのメリット
- kintoneでいつでもどこからでも申請・承認が可能
- リアルタイムで進捗が可視化でき、プロセス管理も可能
- 過去の申請履歴もkintoneですぐに確認可能
申請業務のお悩み解決方法を具体的にチェック!
kintoneでワークフローを構築することで、申請業務にまつわる困りごとをどう解決できるのか、具体的に見てみましょう。
お悩み1:申請方法がバラバラ、対応も煩雑すぎる!
紙、エクセル、メール、チャット、オンラインフォーム……など、申請・承認手段が統一されておらず煩雑になっている申請業務をなんとかしたい。
解決策
kintoneに申請業務を集約することで、ワークフローが効率的に。申請フローが可視化でき、次に誰がなにをすべきかが明確になるため、二重対応や対応漏れなどを防ぎやすくなります。
お悩み2:申請業務に時間がかかりすぎる!
紙を使ったアナログな申請業務のため、承認者が社内にいるときにしか承認がもらえない。また、承認者が複数いるため申請から承認が完了するまでに時間がかかってしまう。
解決策
申請業務をkintoneでシステム化すれば、申請した際に、承認者のスマホに即時通知を飛ばすことができます。クラウド上ですべて完結できるため、社外からでもボタンを押すだけですぐに承認が可能に。ワークフローは自由に設計でき、承認者が複数人いてもスムーズに処理できます。
kintoneのワークフローは、日付、リッチテキスト、チェックボックスなど28個のパーツを自由に組み合わせて作るもの。もちろんkintoneですから、ドラッグ&ドロップの感覚的な操作で簡単に作れるところもポイントです。
このように、ペーパーレスの実現はもちろん、kintoneにアクセスできる環境であれば社外からでも対応が可能なのが大きなメリット。
kintoneでワークフローを構築すれば、申請業務の効率化が一気に進みます。
kintoneでのワークフローの作り方
kintoneでワークフローを構築するといっても、作り方がいまいちわからないということもあるでしょう。
申請業務に必要となる代表的なワークフローの作り方をご紹介します。
差し戻しありの承認フロー
1つめは、基本的な承認フローです。担当者が申請を上げ、それを承認者が確認し、「承認」もしくは「差し戻し」を選択するというフローです。申請内容に明らかな不備があったり、確認が必要なことがあったりした場合はこのようなフローになります。
自社の業務プロセスを整理し、どのステータスで誰(申請者/承認者)のどのアクションが必要になるかなどを整理しましょう。
実際のワークフローを簡単な図にすることで、kintoneでのアプリの設定もスムーズになります。
- 「承認」のほか「差し戻す」という選択肢が必要
- 差し戻した際に1つ前の段階にプロセスを戻す設定が必要
- 申請の際に必要な書類を添付できる設定が必要
上記の必要事項を踏まえ、アプリでワークフローを構築してみましょう。
kintoneアプリでのプロセス管理の設定手順
1. 「レコードの一覧」の画面右上から設定アイコンをクリック
2. 「アプリの設定」画面で設定アイコンをクリックし、「一般設定」→「プロセス管理」をクリック
3. プロセス管理画面の「1. 有効化」で「プロセス管理を有効にする」にチェック
4. 「2. ステータス」で、「申請前」「申請中」「差し戻し」「承認済み」の4つのステータスを設定
5. 「3. プロセス」で、「申請中」「差し戻し」の2つの項目を追加
6. ここまで設定できたら、次は各ステータスにて、「作業者」(アクションを実行しステータスを変更する人)を設定
- 「申請前」ステータスの作業者→申請者(レコードを作成した人)
- 「申請中」ステータスの作業者→ユーザーを追加(承認者)
7. 「アクション名(ボタン名)」に「申請する」「承認する」「差し戻す」の3つの項目を設定
8. レコードを編集し、添付ファイルフィールドに必要書類を添付する
9. 「実行後のステータス」を設定
- 申請する→「申請中」
- 承認する→「承認済み」
- 差し戻す→「差し戻し」
「差し戻し」のステータスでは、「再申請する」というアクションを設定
10. 画面上部の「プロセスのフロー図」で、意図通りに設定できているか確認
11. 画面右下の「保存」→画面右上の「アプリを更新」→確認ダイアログで「アプリを更新」をクリック
※kintoneの標準機能では申請を取り下げるアクションが設定できません。
条件分岐ありの承認フロー
2つめは、先ほどのワークフローの応用編です。
- 金額が10万以上の場合はAさんが承認者
- 金額が10万円未満の場合はBさんが承認者
このように、条件によってアクションが分岐するタイプの業務に適したワークフローです。
kintoneアプリでのプロセス管理の設定手順
1. プロセス管理画面の「2. ステータス」で、「申請前」「Aさん承認待ち」「Bさん承認待ち」「承認済み」の4つのステータスを設定
2. 「3. プロセス」内の「アクションが実行できる条件」にて、分岐条件を設定
アクション実行前のステータス
- 「申請前」ステータスの作業者→申請者(レコードを作成した人)
アクションが実行できる条件
- 「単価」「≧(以上)」「100,000」
- 「単価」「≦(以下)」「99,999」
3. それぞれの分岐の「アクション名(ボタン名)」と「実行後のステータス」を設定
「単価」「≧(以上)」「100,000」
- アクション名(ボタン名)「申請する」、実行後のステータス「Aさん承認待ち」
「単価」「≦(以下)」「99,999」
- アクション名(ボタン名)「申請する」、実行後のステータス「Bさん承認待ち」
4. ここまで設定できたら、次は各ステータスにて、「作業者」を設定
- 「Aさん承認待ち」ステータスの作業者→「次のユーザーのうち1人」でAさんを選択
- 「Bさん承認待ち」ステータスの作業者→「次のユーザーのうち1人」でBさんを選択
5. 両ステータスの「アクション名(ボタン名)」に「承認する」「差し戻す」の2つの項目を設定
6. 「実行後のステータス」を設定
- 申請する→「申請中」
- 承認する→「承認済み」
- 差し戻す→「差し戻し」
「差し戻し」のステータスでは、「再申請する」というアクションを設定
7. 画面上部の「プロセスのフロー図」で、意図通りに設定できているか確認
8. 画面右下の「保存」→画面右上の「アプリを更新」→確認ダイアログで「アプリを更新」をクリック
承認者が複数いる場合の承認フロー
最後は、承認者が複数いるパターンのワークフローです。
- 何人か承認者がおり、そのうちの1人から承認を得られればOKな場合
- 上長全員の承認が必要な場合
業務によってさまざまなパターンが考えられますが、今回は「複数の承認者のうちひとりが承認すればOK」のプロセスを例に挙げます。
Kintoneアプリでのプロセス管理の設定手順
1. プロセス管理画面の「2. ステータス」で、「申請前」「申請中」「承認済み」「却下」の4つのステータスを設定
2. 「3. プロセス」で、「申請中」の項目を追加
3. 各ステータスにて、「作業者」を設定
- 「申請前」ステータスの作業者→申請者
- 「申請中」ステータスの作業者→ドロップダウンから「次のユーザーのうち1人」を選択し、複数の承認者を設定
4. 「アクション名(ボタン名)」に「申請する」「承認する」「差し戻す」の3つの項目を設定
5. 「実行後のステータス」を設定
- 申請する→「申請中」
- 承認する→「承認済み」
- 却下→「却下」
6. 画面上部の「プロセスのフロー図」で、意図通りに設定できているか確認
7. 画面右下の「保存」→画面右上の「アプリを更新」→確認ダイアログで「アプリを更新」をクリック
kintoneのワークフローでできないこととは?
一般的なワークフローの作り方は、上記のとおり。しかし、業務によってはkintoneの標準機能やサンプルアプリでは対応しきれないワークフローもあるでしょう。
たとえば、よくある懸念事項やできないこととして、以下の項目が挙げられます。
- 組織の規模が大きかったり複雑だったりする場合、ユーザー情報や経路マスタなどの設定が煩雑になってしまいがち
- 代理承認や一括承認、申請の取り下げなどができない
- 監査向けの承認履歴のCSV出力ができない
- 外部の人からの申請受付
ただ、業務によっては上記ができなくても問題ないということもあるでしょう。
自社の業務と照らし合わせてみて、標準機能のままで十分なのか、kintoneでのワークフローを支援するプラグインやツールを導入したほうがいいのか、導入支援や設定代行を行う企業に相談したほうがいいのかをじっくり検討してみてくださいね。
重要なのは「システム化」ではなく「業務改善」
「会社がDX推進に力を入れているから、なんとしてでもkintoneでシステム化しなければ」と意気込んでいるうちに、いつのまにか目的が「業務改善」から「システム化」にすり替わってしまう……なんてことも。これでは本末転倒ですよね。
そうならないために、業務改善にフォーカスすることを意識しましょう。
✔ 実際にそのシステムを利用する現場が主体となり、業務改善に取り組もう
IT担当者や外部のシステム会社などに丸投げしてしまうと、いざ現場メンバーが使用するにあたり「ここはこうしてほしかった」「なんだか使いにくい」など、せっかく構築したアプリが使われなくなってしまったというケースも。
そうならないために、現場主体で業務改善を進めることが大切です。
✔ 業務改善計画は小さい単位で立てて、PDCAサイクルを素早く繰り返そう
はじめに大きな計画を立ててしまうと、予測できない事態が起こった際に計画がすべて崩れてしまうことも。計画のやり直しや頓挫により、目的の業務改善ができなかった……ということを避けるために、まずはシンプルで小さな計画を立てて、実行と改善を繰り返すことが大切です。
これまでのワークフローをkintoneで完璧にシステム化することにこだわると、どこかで齟齬が発生してしまうかもしれません。
kintoneを業務改善に活用するためには、kintoneの特性を把握して上手に使うことがポイント。そのために、必要に応じてプラグインやツールの導入を検討したり、導入支援や設定代行を行う企業に相談したりするといいでしょう。
無料で使えるおすすめのプラグイン
kintoneでのワークフロー構築に便利なプラグインを紹介します。
無料で使えるので、迷っている方は試してみるといいでしょう。
ステータス連動必須フィールド設定プラグイン(TiS)
引用元:https://www.tis2010.jp/processlinked/
概要
アクションごとに特定のフィールドを必須項目にしたり、自動コピーしたりできるプラグイン
特長
「申請が上がってきたけれど、必要な情報が揃っておらず差し戻しをしなければならない」といった手間を防ぐのが、こちらのプラグイン。アプリ上でステータスを更新するとき、必須項目のフィールドに入力がない場合にポップアップで入力を促してくれるというもの。
たとえば物品購入の申請をするとき、金額のフィールドに値を入れていない場合はポップアップが表示され、そこで入力しない限り進めない……といった仕組みです。
そのほか、任意のステータスになった際には特定の項目を自動入力したり、自動で内容をコピーしたりも可能。入力できないフィールドを指定することもできるため、さまざまなワークフローに活用できます。
価格
無料
kintoneでのワークフロー構築事例
実際に弊社が構築したワークフローの事例をご紹介します。
どのようなお悩みをどのように解決できるのか、ぜひ参考にしてみてください。
課題:デジタル化、経費削減
業務委託方の業務報告書をはじめ、経費や交通費申請などをすべてエクセルや紙ベースで実施していた企業様。
デジタル化による業務効率アップと経費削減を推し進めるため、kintoneでのワークフロー構築を弊社にご相談いただきました。
解決策
<デジタル化>
エクセルで入力し印刷して管理するといったワークフローをデジタル化して、業務効率が大幅にアップしました。注文書、交通費、支払明細といった帳票も、すべてkintoneで一元管理。PDFでの出力も簡単に行えるようになりました。
<経費削減>
kintoneはユーザーアカウントに応じて費用が増える仕組みです。ユーザーアカウントを業務委託の方や社員全員分用意するのではなく、管理部門の方のみとすることで経費削減を実現しました。
とはいえ、管理部門の方しか入力できない状態ではとても不便です。そこで、ユーザーアカウントを持たない業務委託の方や社員は、弊社のCRMプラットフォーム「クライゼル」やプラグインを利用することでkintoneへデータ入力していただけるようにしました。
まとめ
kintoneをワークフローに活用することで、申請業務の効率が大幅にアップ。プログラミングの知識がなくても、kintoneなら便利な「ワークフロー(社内申請管理)パック」が活用できるので安心です。
kintoneでのワークフロー構築に関するご相談や、kintoneの導入支援・設定代行をお探しなら、サイボウズ社公認のパートナー企業に依頼することをおすすめします。
パートナー企業をお探しの際は、以下の記事もご覧ください。
トライコーンは、サイボウズ社の「プロダクトパートナー」と「コンサルティングパートナー」に認定されています。
ワークフロー構築はもちろん、kintoneの導入や設定、運用でお悩みでしたら、ぜひご相談ください。