営業活動では、受注目標(予算)を設定し、その進捗や達成度を管理する「予実管理」が欠かせません。しかし、手軽に始める方法や効果的なツールの選び方などにお悩みではありませんか。
そこで今回は、kintoneを使って効率的に営業等での予実管理を行う方法についてお伝えします。エクセルやスプレッドシートでの予実管理から脱却し、予実管理をスムーズに進めたいとお考えの方はぜひご一読ください!
予実管理をはじめとするkintoneの活用をご検討でしたら、トライコーンのkintone導入支援サービスをご活用ください。当社はサイボウズ社のオフィシャルパートナーであり、kintoneに関する豊富な知識・開発実績があります。また、社内では実際にkintoneで営業面での予実管理や案件管理を行っています。当社事例をまとめた資料はこちらからダウンロードいただけます。
予実管理はエクセルとkintone、どちらがベスト?
予実管理とは、予算目標と実際の成果との差を管理しながら、進捗や達成度をモニタリングしていく管理手法のひとつです。
予実管理をもっとも手軽に始められるツールとしてあげられるのはエクセルです。多くの人が使い慣れており、初期コストがかからない点も大きな魅力。特に、小規模な組織や顧客数・案件数が少ない場合に適しているといえます。
一方で、エクセルでの予実管理には、以下のようなデメリットがあります。
- 複数人での同時編集が難しい
- リアルタイムでのデータの集計に制限がある
- スマホやタブレットから操作しづらい
- 期が変わるたびにファイル更新の手間がかかる
- 各部署からのデータ収集と統合が煩雑
- 情報量が増えるとファイルが重くなる
- データが複雑になると属人化しやすい
- 誤ってデータの削除や上書きをしても編集履歴が残せない
- 範囲指定や参照ミスが起きる可能性がある
- 持ち出しやコピーが容易なので情報漏洩のリスクがある
予実管理の最大の目的は、予算と実績・見込み額の差を把握し、目標に向けて軌道修正を行うことにあります。そのため、現状のチェックはできるだけ頻繁に行う必要があり、タイムラグの発生は避けたいところです。一方でデータの入力作業や集計作業が日々の業務を圧迫するのは本末転倒になってしまいます。
予実管理のツール選びは、企業の規模や業務の複雑さ、必要な機能を考慮し、最適なものを慎重に判断しましょう。
kintoneで予実管理をするメリットとは?
サイボウズ社が提供するkintone(キントーン)は、プログラミングの知識がなくてもビジネス業務アプリを作成できるクラウドサービスです。データの入力や集計、共有、コミュニケーションを効率的に処理できるのが大きな特長です。
ここではkintoneを利用して予実管理をするメリットについてご紹介します。
データの同時編集・リアルタイム共有ができる
エクセルを使った情報共有では、最新版がわからなくなったり、編集内容が競合したりと、トラブルが起こりがちです。kintoneでは情報が一元管理され、チーム内で同時アクセスもスムーズに行えます。
データ入力もラクラク!スマホにも対応
エクセルはセルに直接入力する必要がありますが、kintoneはラジオボタンやチェックボックスなどを活用したカスタマイズも可能で、手軽に入力することができます。また、インターネット環境さえあればスマホやタブレットからもスムーズに登録や確認ができるので、営業担当者は外出先でも対応がしやすくなります。
営業活動や顧客情報の一元管理が可能に
kintoneでは、顧客情報や案件情報、活動履歴をまとめて管理でき、予実管理に必要なデータを一目で把握可能です。リアルタイムでの情報更新にも対応しており、条件を絞り込んで表示したり、データを集計してグラフ化したりするのも簡単です。
チャット機能でコミュニケーションも円滑に
kintoneにはチャット機能があり、データごとにコメントを残すことができます。予実情報や顧客情報に対して、直接アドバイスや指示を書き込めるため、情報が分散せず、連絡漏れや伝達ミスを防げます。
データに基づく通知機能
日時や条件を指定して、メールやスマホアプリから通知やリマインドを受け取る機能もエクセルにはない便利な点です。例えば、「100万円以上の案件が登録された場合、部長以上のメンバーに自動通知する」といった細かな設定も可能です。
ライセンス料が安価
予実管理をするためにSFAのクラウドサービスを検討されている方も多いでしょう。SFAのクラウドサービスはライセンス費用がkintoneよりも高額な場合が多いです。kintoneのライセンス費用が1800円/ユーザ(※)ということもメリットの一つです。
(※)スタンダードコース、最低利用ユーザ数:10、2024年11月時点。
kintoneを利用した予実管理の方法は?各方法のメリット・デメリットもチェック!
kintoneでの予実管理をするにはいくつかの方法があります。それでは、それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
サンプルアプリを活用する
kintoneのアプリストアにある「予算・実績管理」サンプルアプリを活用する方法です。アプリパックを導入するだけで、「予算管理」と「実績管理」の2つのアプリが自動作成されます。
- メリット:無料で利用可能
- デメリット:予算と実績の比較ができない
アプリを作成し、JavaScriptでカスタマイズする
前述の「予算・実績管理」のサンプルアプリに、JavaScriptを使ったカスタマイズ(機能拡張の操作)をすることで、予算と実績の差異や達成率を表示する予実管理アプリを作成できます。
- メリット:無料で利用でき、サンプルアプリよりも機能が増える
- デメリット:JavaScriptの知識が求められるため、やや難易度が高い
プラグインや連携サービスを使う
kintone の特長のひとつに拡張性の高さがあげられます。さまざまな企業が開発したプラグインや連携サービスを利用することで、より自社のニーズに合わせた予実管理アプリがつくれます。
- メリット:標準機能では実現できない高度なデータ管理が可能
- デメリット:追加の費用が発生する場合がある
おすすめkintoneプラグインを紹介
それでは、kintoneで予実管理を始める際におすすめのプラグインをご紹介します。
DataCollect(トヨクモ株式会社)
引用先:https://www.kintoneapp.com/data-collect
アプリ間のデータ集計や、関数を使った計算を簡単にできるツールです。kintoneの標準機能では難しい複数アプリをまたいだデータ活用が可能になるほか、時間指定での実行やリアルタイムでの自動実行など、集計タイミングも柔軟に設定できます。
当社でも、予実管理に使用しているプラグインです。どのように使用しているかをご紹介しています。
■料金:月額¥9,000~
アプリ間レコード集計プラグイン(合同会社ぱんだ商会)
引用先:https://www.tis2010.jp/referencecalc/
アプリのレコード情報を集計できるプラグインです。kintoneでは標準機能でアプリ間のレコード集計ができないため、予算と実績が異なるアプリに分かれている場合、予実の比較ができません。しかし、このプラグインを使用することで案件管理から売上集計まで簡単に実現可能です。
■料金:無料
各種月次集計プラグイン(合同会社ぱんだ商会)
引用先:https://www.tis2010.jp/monthlysummary/
担当者や拠点ごとの売上高や累計、平均などの複数の集計結果を日別・月別に一画面で確認できるプラグインです。合計や比率など、集計方法も幅広く選択可能です。また、特定の条件に合ったデータを抽出し、色で強調表示することで、視覚的にもわかりやすく管理できます。ただし1つのアプリの情報のみを使って集計するプラグインのため、他アプリの情報を参照することはできません。
■料金:無料
krewSheet(メシウス株式会社)
引用先:https://krew.mescius.jp/products/krewsheet.htm
データ一覧を直感的に表示・編集できるプラグインです。その特長はエクセルのような操作感。シンプルな検索機能や案件情報のコピーといったエクセルの使い勝手を維持しつつ、kintoneならではのクラウド共有やデータ管理ができます。
■料金:年額¥275,000~/月額¥25,300~ (※100ユーザーまでの価格)
kintoneで予実管理アプリを作成するときの注意点
kintoneで予実管理アプリを導入する際は、まずアプリで管理したいことを明確に設計することが重要です。
例えば、月中に営業予算の達成状況をパーセントで確認したい場合、同月の受注予算と受注済み金額、今月の受注予定金額を合計して算出します。このとき、受注予定金額のうち、どの受注確度(Aヨミ、Bヨミ、Cヨミ、Dヨミなど)を対象に含めるかを事前に決めておく必要があります。
他にも、受注パイプラインの金額や受注率を確認する場合、それらに必要なデータを明確にし、管理する指標を整理しておくとよいでしょう。
また、予実管理アプリを運用するにあたっては、現場の営業スタッフがデータを入力するのが一般的ですが、日々の忙しい業務の中でも入力がしやすい設計が不可欠です。そのため、アプリを設計する際はマネジメント層の要望に加えて、現場の営業スタッフのニーズも反映させることが大切です。そうすることで、アプリが日々の業務に活用され、真の業務改善につながります。
弊社事例のご紹介
弊社でも数年前までエクセルで予実管理をおこなっていました。しかし、上述にあるような問題(以下※を参照)があり業務生産性をおとしていました。
(※)当時の当社問題:複数人での同時編集が難しい、スマホから操作しづらい、データ収集と統合が煩雑、誤ってデータの削除や上書きによる対応負荷、活動履歴が残せない
そこで、当社ではkintoneを導入し自社で予実管理アプリ、案件管理アプリを作成しました。それにより、以下を実現することができました。
① ポータル
② 予実管理
③ 顧客情報の充実
それぞれに関してご説明いたします。
① ポータル
kintoneのポータルやスペースといった機能を活用することで各ユーザ(経営、営業、マーケティングなど)が見たい数字を素早く見れるようになりました。
このポータル画面から簡単に見たいデータを見れるようになりました。もちろん数字は表形式でもグラフ形式でも確認することが可能です。
例えば、当社への営業お問合わせ数は有効クエリーとして管理しています。上記ポータルで有効クエリー件数のボタンをクリックすれば以下のようなグラフをすぐに確認することが可能です。グラフは、棒グラフのみならず円グラフや折れ線グラフなど複数のグラフタイプを選択できます。
② 予実管理
予算と実績、その差や達成率の計算などを一つのアプリで実装できます。
(数値はサンプルです)
この画面は標準機能では作ることができませんが、拡張機能を使うことで実装することができます。 使っているのはトヨクモ社のデータコレクトとパンダ商会の各種月次集計プラグインを使ってアプリを構築しています。
また、予実管理は個人毎、グループ毎、部毎、本部毎に管理しますので、各部門のスペースを作って、そこに数値を把握するためのボタンリンクを設置して、メンバーが簡単に予実を確認できるようにしています。
(スペース例)
③ 顧客情報の充実
予実管理として重要なのは、それぞれのお客様の案件ヨミ状況です。また、営業上に必要なデータが顧客毎に集約されていると営業上利用しやすいです。それらの詳細を記録できるアプリも作成しています。
お客様情報には、会社情報、担当者様情報、案件情報、営業活動情報、マーケティング情報(ウェビナー申込情報や資料ダウンロード情報など)をまとめて記録しています。
お客様情報の入力はなるべく手入力を避けるため、弊社SaaS「クライゼル」で作成したお問合わせフォームやウェビナー申込フォームに入力された情報を自動でkintoneに連携することで業務効率をあげています。
ご紹介した事例をまとめた資料はこちらからダウンロードいただけます。
まとめ
営業における予実管理は、目標達成に欠かせない重要なプロセスです。エクセルは手軽で便利ですが、機能性には限界があります。特に複数の担当者での同時編集やリアルタイムでのデータ更新が難しく、本来の目的を果たせない場合があります。
そこでおすすめなのが、kintoneを使った予実管理です。クラウド上でどこからでも情報を共有でき、進捗を可視化することで予実管理をスムーズに進められます。kintoneでの予実管理には複数の運用方法があり、自社の状況に合った使い方を選ぶことが大切です。機能のカスタマイズやデータ移行を行う際は専門的な知識やリソースが求められることもあるので、プロにサポートを依頼するのも一手です。
予実管理の効率化をお考えなら、まずはお気軽に当社にお問い合わせください。トライコーンは、幅広い業界でのkintone活用支援の実績がございます。kintoneを活用した業務課題解決ならぜひ当社にお任せください。