この記事では、Salesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)の導入検討時に必要な知識に関して解説しています。MA(Marketing Automation)導入初心者の方向けに、分りやすく記載していますので、ぜひ参考にしてください。
Salesforceで月5,000件以上のメール配信を行いたい方は、Salesforceの拡張機能アプリAutobahn(アウトバーン)for AppExchangeをご検討ください。
B2B企業が取り組むべきマーケティング潮流の変化
コロナ禍をきっかけに、企業の購買行動における情報収集はオンラインで実施することが当たり前になりました。情報収集、営業マンとの打ち合わせもオンラインが多くなりました。その上でお客様は候補企業を絞り込み、提案を受けて選定するプロセスに変化しています。
よって、お客様がインターネット検索しても表示されない会社、Webサイトが分りにくい会社、検討資料をダウンロードできない会社は最初から候補に入らない可能性が高いのです。企業にとってはこのような顧客の購買プロセスに則したマーケティングと営業が重要になっています。
ですので各企業は以下のような活動を我先にすすめています。
- Webサイトでのコンテンツの充実
- 狙ったキーワードでの検索上位表示
- 顧客情報の一元管理(SFAの導入)
- メールマーケティングの実施(push通知)
- 営業フォロー体制の充実(インサイド営業など)
- MA(Marketing Automation)の導入
なお、Salesforce環境でメールマーケティングを初めてみたい方は、Autobahn for Appexchange(Salesforce専用のメール配信アプリ)をぜひご検討ください。
Salesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)とは
Salesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧称:Pardot)は、B2B企業向けの強力なMAツールです。Salesforceを、SFAや顧客管理ツールとして利用しているB2B企業がMAツールを検討するなら、この一択でしょう。
その理由は、 Sales Cloud(Salesforce社のSFA/顧客管理プラットフォーム)と非常にうまく連携できているからです。マーケティングが作った見込み客を、営業マンがSales Cloudを使って効率よくフォローできる数々の仕組みが実装されています。
裏返せば、Sales Cloudを使っていない企業であればMarketing Cloud Account Engagementをあえて導入する必要はないとも言えるでしょう。マーケティングと営業がシームレスにお客様をフォローできるのがSales CloudとMarketing Cloud Account Engagementの組み合わせです。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)の特徴
Marketing Cloud Account Engagementには、企業の購買行動を営業マンが把握してフォローするための機能がそろっています。まさに、顧客を見える化するためのツールです。
例えば、あるインサイド営業は、アサインされた新規のお問合わせ客と過去のお問合せ客300社を担当していたとします。そのインサイド営業は自社サイトから資料ダウンロードされたらその通知を受け取り、Webフォームに入力された企業情報と合わせて、お客様が自社サイトのどのページをどれくらい見て、どの資料をダウンロードしたかという情報をSales Cloud上でカンタンに確認できます。その情報を見て、予め興味がありそうな営業ネタを想定してコンタクトすることができます。
また、過去お問合わせいただいた300社の見込み客が最近頻繁に自社のWebサイトを閲覧しているといった、顧客アクティビティの「シグナルを捕捉」できます。お客様が自社サイトを久しぶりにかつ、頻繁に閲覧していることがわかるので、このタイミングでコンタクトすれば、アポ率も向上するでしょう。
上述の例はインサイド営業を例にしていますが、こればフィールドセールスでも全く同じです。
マーケティングと営業の質を上げるためのツール、それがMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)とSales Cloudの組み合わせなのです。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)の主要機能
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)には数多くの機能が備わっています。
まず、営業目線で便利な機能を紹介します。
顧客の興味関心の把握
- Webトラッキング:見込み客の自社サイト閲覧履歴を確認できます。見込み客がどのページを閲覧しているかがわかるので見込み客の興味を推定するのにとても役立ちます。
- アクティビティ・スコアリング:サイト閲覧やメルマガクリック等の顧客アクションを点数化し、見込み客の行動を評価できます。スコアはカテゴリごとに設定できるので、興味がある製品やサービスを把握することにも活用できます。また、スコアの伸びの状況を把握することでお客様の検討度合いを推察することも可能です。これが、見込み客の見える化です。
アプローチすべき顧客の優先度付け
- 見込み客のグレーディング:見込み客を、会社規模や役職、場所等のプロファイルの条件で評価できます。アクティビティスコアと併用することで、優先的にアプローチすべき見込み客をリスト化できます。
営業アプローチ工数の効率化
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- 営業メールテンプレート:営業メールのテンプレートを準備できます。営業はそのテンプレートを使って素早く見込み客にメールを送信できます。例えば、ある製品についてお問合わせフォームに入力があった見込み客に対して、その製品紹介動画を案内するメールテンプレートを使って、必要なコメントを付けて送ることができます。この機能により、営業の業務効率向上が期待できます。
- アラート機能:見込み客のスコアをリアルタイムにカードビューで表示できます。これにより営業アプローチの効率化が図れます。また、継続的にコンタクトをとるきっかけにもなります。
- レポート:マーケティングの活動から営業の結果まで、一貫性のあるレポートを生成できます。これによりマーケティングから営業までの効果を分析・把握できます。
次に、マーケティング目線で便利な機能を紹介します。
制作
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- LP(ランディングページ)制作:テンプレートやドラッグ&ドロップエディタを利用してカンタンにLP制作できます。
- フォーム制作:LP制作と同様にテンプレートやドラッグ&ドロップエディタを利用してカンタンにフォーム制作できます。なお、Account Engagementで作成したフォームには、入力確認ページはありませんのでその点は注意してください。
- プログレッシブ・プロファイリング:フォーム入力の離脱対策として、少しでも入力の手間を減らすために段階的に必要な情報を集めるフォームを作成できます。これにより「毎回会社名、氏名など同じ項目を入力させられる」「入力項目が多すぎる」など、見込み客の離脱を防止できます。
- メール制作:テンプレートやWYSIWYGエディターによりカンタンにメールを制作できます。
- ダイナミックコンテンツ(動的コンテンツ):見込み客の属性情報やスコアにより、メールやWEBなどのコンテンツを動的に切り替えることができます。
効果的なメールマーケティング
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- メールマーケティング:見込み客のプロファイルに応じて見込み客をセグメントし、セグメントに応じてメール配信が可能です
- ダイナミックリスト:見込客を自動で特定の条件にリスト化できます。一度設定しておけばその後は自動で振り分けられ、カンタンにセグメント配信が可能です。
- シナリオメール:見込み客アクションなどに基づき、予め作成したシナリオにそって、メール配信できます。例えば、事例ページをよく閲覧している人に、事例集を送ったり、ウェビナーページを閲覧したけど申し込みしなかった人にパンフレットを送るなどいろいろな施策が可能です。ただし、施策を増やしすぎるとメンテナンスが大変なので効果と工数を見極めてシナリオ施策を設定することが大事です。
レポート
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- クローズドループレポート:受注商談とその要因となったキャンペーン活動の連携機能です。次回のマーケティング活動に役立ちます。
- ライフサイクルレポート:マーケティング施策から売上までのレポート機能で、各営業サイクルにおける検証や分析ができます。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)にかかる費用
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)のライセンス費用
Growth | Plus | Advanced | Premium |
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150,000円(税抜)/月 メールアドレス数最大 10,000 |
330,000円(税抜)/月 メールアドレス数最大 10,000 |
528,000円(税抜)/月 メールアドレス数最大 10,000 |
1,800,000円(税抜)/月 メールアドレス数最大 75,000 |
(2024年3月現在の価格)
エディションが上がるにつれ、利用できる機能が増えます。いずれも年間契約です。
メールアドレス数は、追加費用で拡張するとこができます。
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)の導入費用
はじめてMAを導入する場合は、Marketing Cloud Account Engagementのライセンス費用とは別にコンサルティング企業各社が提供する導入支援サービスを利用することが一般的です。導入支援サービスは、支援サービスの内容により金額が大きく異なります。 おおよそ以下のような価格レンジを想定しておくといいでしょう。
初期設定支援サービス(初期設定時に発生) | 並走サービス(月次サービス) |
---|---|
概算価格:50万円~250万円※ サービス内容概要
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概算価格:月次10万円~150万円※ サービス内容概要
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※価格は支援内容やサービス提供会社により異なります。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)を導入する前にしておきたいこと
①サイト更新体制
自社のWebサイトに必要なコンテンツを随時アップする体制が必要です。
自社サイトで狙いたい検索キーワードのSEO対策も合わせて必要です。
なぜならば、MAは自社サイトをご覧になった見込み客のWebサイト上の行動をトラッキングします。よって、自社サイトにお客様の興味をひくコンテンツがない、検索しても自社サイトが上位表示されないのでは集客は見込めず、MAの効果は半減します。
少なくとも毎月1本以上の新しいコンテンツをアップする体制が必要です。
②顧客情報の集約
Sales Cloudにお客様の情報を集約し格納します。既存客、リード両方の情報を格納します。
営業側で収集した名刺情報、自社製品やサービスにお問合わせいただいた方、資料をWebサイトからダウンロードされた方の情報を必ず格納します。
MAやメールマーケティングで使うお客様情報が分散していると効率的なマーケティングを実施できません。また、見込み客(リード)数が10,000件以下ならMAを入れるよりも先に、何らかのキャンペーンを実施して見込み客数を増やすことが必要です。
尚、Webフォームを作成して入力された情報をSales Cloudに「直接格納」するには弊社サービス「クライゼル」が便利です。web-to-リード、web-to-ケースのフォームも簡単に作成できます。
詳細はこちらをご確認ください。
③カスタマージャーニーの可視化
見込み客が商品やサービスを見つけて貴社から購入するまでの過程を可視化することが重要です。まずは、自分が見込み客になったつもりで、検索、webサイト閲覧、資料ダウンロード、メルマガ受信、ウェビナー受講、営業問合せ、商談、購入といった顧客接点を疑似体験して、見込み客の立場から自社を評価してみましょう。きっと、改善するべき点がみつかります。
大きな問題点がなければ、次に進みます。
④メールマーケティング
新たにアップしたWebサイトのコンテンツやキャンペーン等をメールマーケティングでpush通知します。
MAで細かなシナリオベースのメールマーケティングをする前にまずはメルマガを配信します。
メルマガを運用に乗せることで、メール作成/配信/レビュー等が着実に行えるようになります。
メルマガ運用を軌道に乗せられていない状況で高価でかつ複雑な機能のMA運用を軌道に乗せるには、MA専任者のアサインやコンサル会社の支援等、相応のコストがかかります。
尚、Salesforceに格納された顧客データを使ってSalesforceから直接メルマガ配信するなら弊社サービス「Autobahn for Appexchange」が便利です。
MAと比較して安価に導入することが可能です。メールの開封やクリックを見込み客の活動履歴に記録したり、簡単なスコアリングもできます。まずは、このようなサービスを活用してMA導入の準備をするといいでしょう。
Salesforce専用メール配信アプリ「Autobahn for Appexchange」の資料ダウンロードはこちら
➄毎月数百件のリードを獲得する
MAは自社サイトから資料ダウンロードしていただいた方やお問合わせをしていただいた方等を自動でフォローアップする仕組みです。よって、毎月のリード数が100件未満の場合はまずは自社サイトのコンテンツ強化、検索広告の強化、資料ダウンロード数の増加、キャンペーンの実施、メールマーケティングの実施でリード数の確保に取り組むといいでしょう。
⑥有効リードをフォローする営業体制を準備する
有効リードはそれぞれの企業により定義が異なります。資料ダウンロード者を営業がフォローする企業もあれば、具体的な案件お問合わせ者のみを営業がフォローする企業もあります。また、ターゲットアカウントのお問合わせ者のみを営業がフォローする場合もあります。
いずれの場合も自社が定義した有効リード(一般的にSQL:Sales Qualified Leadと呼ばれます)を営業がしっかりフォローする体制がないとMA導入だけでは案件受注につながりません。また、有効リードのフォロー状況をSalesforce上の該当レコードに記録して営業組織が活用することは言うまでもありません。
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)を導入
上記の実行体制を踏まえたうえで、MAを導入します。
そうすればMAは効果を発揮してくれます。
見込み客を育てることも、有望な見込み客を営業が見つけることも可能になります。
まとめ
この記事では、B2B企業のマーケティングや営業の潮流の変化から、Salesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)が、営業とマーケティングのそれぞれの業務の効率化につながることを解説してきました。
また、MAを導入する前に取り組まなければならないことも解説してきました。
この記事がMA導入検討の一助になれば幸いです。
なお、弊社ではSales Cloudの環境でカンタンかつ安価にメールマーケティングを実施できるSalesforce専用メール配信アプリ「Autobahn for Appexchange」をご用意しています。合わせてご検討いただけたら幸甚です。