Salesforceは、クラウドベースのSFA/CRMプラットフォームです。営業・マーケティングだけでなくカスタマーサポートなど多彩な機能を備え、中小企業から大企業までの幅広いニーズに対応していることから、数多くの企業に導入されています。さらに、Salesforce内に格納されている顧客データを活用してのメールの一斉送信は、マーケティングの施策としてもとても有効です。
そこで今回は、Salesforce上の顧客データに対してメール配信を行う5つの方法とそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。加えて、Salesforceからメールを配信する場合に留意したい、Gmailの「メール送信者のガイドライン」についても解説します。
なお、トライコーンではSalesforce専用のメール配信アプリ「Autobahn for AppExchange」をご提供しています。Salesforceからメールを送信する際の制限を気にすることなくメールの一斉送信が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
Salesforceからメールを一斉送信する際によくある課題TOP5
メールを一括で送信したいとお考えの企業からお問い合わせいただくことが多い課題は以下の通りです。
- 1日に5,000通以上のメールを配信したいが、Salesforceの制限で1日5000通以上配信できない。
- 1回の配信操作で200通しか配信できないので、配信作業の工数がかかり不便。
- Salesforceと連携するMAを使ってメール配信しているが、メルマガ配信でしか使っておらずMAコストが負担。
- カスタムオブジェクトに顧客メールアドレスを格納しているが、Salesforce標準機能ではカスタムオブジェクトの顧客にメール配信できない。
- メール中のリンクや資料DLリンクをクリックした人のレコードに、それらの履歴を残したい。
ご覧のみなさんもこのような課題にお困りではありませんか?トライコーンではこれらの課題を解決できるSaleforce専用メール配信アプリ「Autobahn for AppExchange」をご用意しています。ぜひご確認ください。
Salesforceからメールを一斉に送信する5つの方法
送信方法を選ぶポイント
Salesforceを使ってメールを一斉に送信する方法としては、主に次の5つが挙げられます。
- リストビューからリストメール送信(Salesforce標準機能)
- キャンペーンからリストメール送信(Salesforce標準機能)
- Autobahn for AppExchangeを利用したメール送信
- MA(Marketing Automation)を利用したメール送信
- 外部のメール配信サービスを利用したメール送信
このように、メールを送信する手段はいくつかありますが、それぞれの特徴を理解したうえで自社の業務フローに合った方法を選ばないと、意図した結果が得られないこともあります。
それでは、送信方法を選択する際にはどのような点に着目して選べばよいのでしょうか。ご参考までに配信方法を比較した表と選ぶ際のポイントをご紹介します。
方法 | コスト | Salesforce との連携 | 利用シーン |
1.リストビューから リストメール送信 | ◎ | ◎ | アドホックに200通以下のメール一斉送信 |
2.キャンペーンから リストメール送信 | ◎ | ◎ | マーケティング等の施策としてメール一斉送信(5,000通/日以下) |
3.Autobahn for AppExchange | 〇 | ◎ | マーケティング等の施策としてメール一斉送信(5,000通/日以上) メールクリック者に対するアプローチ |
4.MA | ✕ | ◎ | 複雑なシナリオメール配信 webアクセストラッキング |
5.外部メール配信サービス | 〇 | ✕ | 既存のメール配信サービスに慣れている場合 |
<送信方法の選ぶ際のポイント>
- 目的
メール配信で成果を上げるためには、まず「何のために」という明確な目的が必要です。目的が曖昧では、効果的な活用方法も見えてきません。誰に対してどのような内容のメールを送りたいのか、そしてその結果としてどのようなアクションを促したいのかを明確にしましょう。
- 機能
MAや外部メール配信サービスの機能はそれぞれ異なります。そのため、「設定した目的を達成するためにはどの機能が必要か」を検討し、必要最低限の機能に絞り込むことで、自社にとって最適なツールを選びやすくなります。
- 費用対効果
ツールにかかる費用をどの程度まで負担できるか、費用に対してどれだけのリターンが得られるかを見極めて、自社に合った方法を慎重に判断することが重要です。
1.リストビューからリストメール送信(Salesforce標準機能)
Salesforceの標準機能①「リストビュー」とは
リストビューとは、Salesforce内にあるデータを任意の条件で一覧表示できる機能です。任意の条件で絞り込みが可能です。
ステップ1:リストビューの絞り込み検索で顧客を絞り込む
「取引先責任者をリスト表示して、その中で特定の会社(=取引先)に属する複数人にメールを一斉送信したい」といったケースの場合、まずはリストビューで特定の取引先を選択して、右上のリストメール送信をクリックします。
ステップ2:メール送信
そうすると、以下のような「リストメールの送信」ポップアップ画面が表示されます。宛先は既に選択されていますのでメールの表題や本文を入力して送信します。なお、リストメールを送るにはリストメール送信権限が必要です。リストメールを送れない場合は、自社のSalesforce管理者に確認してください。
メリット・デメリット
メリット
- 一斉メール送信がとにかくカンタンにできる
- 無料で利用できる(Salesforce標準機能)
- 文面内に、宛先の名前や企業名などを差し込み可能
- 条件を絞って配信できる
デメリット
- リストビューからの送信は1回200件まで、かつ1日合計5,000通までの制限がある
- リストビューからメール送信したい相手を選ぶので、送信先が増えると手間がかかる
- 配信できるオブジェクトがリード/取引先責任者/個人取引先のみ
- メールを送った顧客のアクション(商談発生など)を測定しにくい
- メールを送った後に、再度そのリストにメールを送信することが困難
こんな方におすすめ
- 顧客データが5,000件以内
- 取引先責任者や個人取引先の複数人に対してアドホックにメールを配信したい
2.キャンペーンからのリストメール送信(Salesforce標準機能)
Salesforceの標準機能②「キャンペーン」とは
Salesforceのキャンペーン機能とは、メールの一斉送信や展示会などのマーケティング活動によって発生した見込み客の反応(商談数など)を詳細に追跡するためのSalesforce標準のツールです。
ステップ1:キャンペーンを作成する
キャンペーンを作成します。キャンペーンのタブ(ナビゲーション項目)をクリックして、新規をクリックします。
(もしも、お使いのSalesforceにキャンペーンのタブ(ナビゲーション項目)がない場合は画面上のエンピツマークをクリックしてキャンペーンタブ(ナビゲーション項目)を追加します。エンピツマークマークをクリックしてもキャンペーンタブ(ナビゲーション項目)が表示されない場合は権限が不足しているので自社のSalesforceの管理者に確認してください。)
すると次のようなポップアップが表示されるので、キャンペーンに必要な情報を登録します。
ステップ2:キャンペーンに顧客を追加
リードや取引先責任者を登録します。登録はリードタブや取引先責任者タブから登録する方法と、キャンペーンタブから登録する方法の2通りあります。
前者の場合はリードや取引先責任者の画面からキャンペーンに登録したい人を選んで「キャンペーンに追加」をクリックします。対象のキャンペーンを選ぶポップアップが表示されるのでキャンペーンを選択します。するとリードや取引先責任者がキャンペーンに登録されます。
後者の場合はキャンペーンタブからリードの追加または取引先責任者の追加をクリックして追加します。
キャンペーンに登録されたリードや取引先はキャンペーンメンバーとして登録されます。
下図では「新サイトのお知らせ」という名前のキャンペーンに、リードや取引先から12名が登録された状況です。
ステップ3:メール送信
キャンペーンメンバー登録後、右上のリストメール送信をクリックします。そうすると、上述と同じ「リストメールの送信」ポップアップ画面が表示されます。宛先は既にキャンペーンで選択されていますので、メールの表題や本文を入力して送信します。
なお、キャンペーンを利用するにはキャンペーンの利用権限が必要です。利用できない場合は自社のSalesforce管理者に確認してください。
メリット・デメリット
メリット
- 無料で利用できる(Salesforce標準機能)
- 送信先データをインポートやレポートを使って一括でキャンペーンに追加できるのでメールを一斉送信する顧客データを作成しやすい(ただし、一日あたりに最大5,000通までしか送れません)
- 一斉メール送信した顧客のアクションを追跡しやすい(どのキャンペーンのキャンペーンメンバーに含まれる人が商談化したなどのデータが得られやすい)
- 一斉メール送信後、再度そのグループにメール送信をすることが容易
デメリット
- 1日あたり5,000通までしか配信できない
- 配信できるオブジェクトがリード/取引先責任者/個人取引先のみ
- メール送信エラーになった人を一覧で確認できない
こんな方におすすめ
- 配信結果の追跡をしたい
- 定期的なメール配信を行いたい
3.Autobahn for AppExchangeを利用したメール送信
Salesforce専用メール配信アプリ「Autobahn for AppExchange」とは
Salesforceと完全連動したメール配信アプリケーションです。カスタムオブジェクトを含むSalesforce内のデータからメールの一斉送信先を選定・抽出してメール送信できます。Salesforce公認のビジネスアプリマーケット「Appexchange」で購入できるアプリなので、安心してご利用いただけます。
Autobahn for AppExchangeの資料ダウンロードはこちらから
Autobahn for AppExchangeの画面イメージ
アプリをSalesforceにインストールします。Salesforceの画面上で、文面設定から配信予約まで行うことが可能です。
一斉にメール送信した後、受信者のレコードを見ると、以下のように、開封やクリックが活動履歴に記録されます。クリックした人だけをリスト化して、フォローアップを行うといった施策も可能です。
また、スコアリング(受信者の行動に応じて、専用の数値項目に自動で点数を加算する)機能も備わっていますので、見込みの高い(スコアが高い)顧客も割り出せます。
メリット・デメリット
メリット
- すべてのオブジェクトに配信可能
- 配信件数に上限がない
- エラーメールを一覧で確認できる
- オプトアウト(配信停止)の申請を受け付ける機能を標準装備
- ステップメールの配信が可能
- 開封やクリックの記録・スコアリングが可能
デメリット
- 有償サービス(料金は資料からご確認ください。MAよりは断然安価です)
- MAで実行するような複雑なシナリオ送信するにはハードルがある
こんな方におすすめ
- カスタムオブジェクトなどにメールを配信したい
- 5,000人以上に配信したい
- エラー計測やオプトアウト、スコアリングの機能が欲しい
4.MA(Marketing Automation)を利用したメール送信
マーケティングの自動化ツール「MA」とは
Marketing Automationという文字通り、マーケティングを自動化するためのツールです。顧客データの収集から分析、営業担当への通知、メール配信などを自動で行います。
Salesforceとデータ連携できるMAも提供されており、例えばセールスフォース・ドットコムが提供する「Marketing Cloud Account Engagement(旧名称Pardot)」や「Marketing Cloud」などがあります。
メリット・デメリット
メリット
- メールの一斉配信に加え、複雑なシナリオに沿った自動配信も可能
- スコアリングなどの機能が充実
- フォームやLPを制作する機能が備わっている
デメリット
- メール配信アプリと比較すると、金額が高い傾向にある
- 高機能な半面、導入時の要件定義などに工数がかかる
- 導入支援ベンダーに導入支援(別途費用)を依頼するのが一般的
※MAの種類やエディションによってライセンス金額や導入支援金額は異なります。
こんな方におすすめ
- メール配信に留まらず、高度なWebマーケティングを行いたい
- MAを運用する体制がある
5.外部のメール配信サービスを利用したメール送信
外部のメール配信に特化したサービスを利用する方法です。
Salesforceとのデータ連携工数がかかりますが、既に自社で専用のメール配信サービスを利用している場合、それを使うことで使い慣れたUIでメールを配信できます。
トライコーンが提供しているメール配信サービス「クライゼル ライトプラン」なら、月額1万円でメール送信に合わせて、webtoリードやwebtoケースのフォームもカンタンに作成できます。
ご興味あれば、こちらからカタログ(機能/料金表)をダウンロードください。
メリット・デメリット
メリット
- 安価
- メール配信に必要な機能がそろっている
デメリット
- Salesforceからデータをcsvファイル等で連携する必要がある
- メールクリックデータを使った営業を行うには手間がかかる
こんな方におすすめ
- 多機能なCRMシステムを利用したい
- 高度なメールマーケティングを実施したい
大幅アップデート!Gmailガイドラインへの対応について
さて、冒頭で紹介した通りSalesforceからメールを配信する場合でも、Googleが2023年10月に 発表した「メール送信者のガイドライン」に沿って配信する必要があります。
「メール送信者のガイドライン」では、2024年2月以降、1日あたり5,000件以上のメールを送信する場合、次の3つの対応が求められます。
1.送信メールを認証すること
メールの送信元を明示して、なりすましメールやスパムメールではないことを証明するための設定です。送信元について、送信ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)と、メール送信時のTLS接続が求められています。
送信メールの認証には送信元の作業も必要になります。「Autobahn for AppExchange」をご利用のお客様はトライコーンサポートデスクでこれらの設定のサポートも可能です。
2.未承諾のメールまたは迷惑メールを送信しないこと
ドメインからのメールが迷惑メールとして報告される頻度が高いと、以降のメールは迷惑メールに分類される可能性が高くなります。メールの受け取りを承諾しているユーザーにのみメールを送信するようにすれば、その送信元ドメインからのメールが迷惑メールとして報告されるリスクを軽減できます。
迷惑メールの報告に応じて、ドメインの評価が次第に下がっていく可能性がありますので気を付けましょう。ドメインの評価は Postmaster Tools を使用して確認できます。
3.受信者がメールの配信登録を容易に解除できるようにすること
1日に5,000件を超えるマーケティング目的のメールや配信登録されたメールを送信する場合、ワンクリックでの登録解除に対応する必要があります。(List-Unsubscribeヘッダの実装)
これらが未設定の場合、Google側で迷惑メールと判断される可能性が高く、メールが届かない、メールがタイムリーに受け取られないなどの影響が出てくる場合がありますので、注意が必要です。
Gmailの新ガイドラインについての詳細はこちらの記事を参照ください。
自社に合った送信方法を選択して、メールマーケティングを成功させよう
ここまで、Salesforceからメールを一斉送信する方法についてご説明いたしました。それぞれメリット・デメリットがありますので、予算や配信数など、自社の状況に合わせた送信方法を選んでみてください。
また、Gmailガイドライン変更により、メールマーケティングはより技術的な対応と高品質なコンテンツ提供が求められるようになります。
トライコーンではクラウド型メールマーケティングシステムのほか、メールマーケティング支援サービスをご提供しております。メールマーケティングに関してお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。